精選版 日本国語大辞典 「厚・篤」の意味・読み・例文・類語
あつ・い【厚・篤】
〘形口〙 あつ・し 〘形ク〙
※宇津保(970‐999頃)国譲下「布の襖、綿あつく入れて、いと多う持たせ」
(イ) 雲、霧、霜また、群生するものなどの密度・濃度が少なくない。
※梁塵秘抄(1179頃)二「五障のくもこそ厚くとも、如来月輪隠されじ」
(ロ) 人の集団について、ある役割を担う人数が多い。「選手層が厚いチーム」
(ハ) 音楽で、ハーモニーが多くの音で構成されている。「厚いハーモニーの曲」
③
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「親のかへりみのあつく、慈悲の深かりしを捨てて」
(ロ) 身に受けた恩恵などに対して、恩賞・ほうび・礼・感謝など、その気持を表わす行為の程度がはなはだしい。また、その表わし方が真心がこもっていて丁寧である。
※日葡辞書(1603‐04)「シャウヲ atçǔ(アツウ)スル〈訳〉多くの恩賞をほどこす」
※尋常小学読本(1887)〈文部省〉四「老人は喜び、あつくれいをのべて」
(ハ) 物事・行為に対して、熱心である。本気である。誠心誠意とりくんでいる。
※説経節・さんせう太夫(与七郎正本)(1640頃)中「此しんばつと、あつうふかうかうるべし。はつはにおいてはしらぬ也」
(ニ) 特に、信用・信頼する気持が強い。⇔薄い。「信仰心があつい」
④ 裕福である。経済的に富んでいる。⇔薄い。
⑤ あつかましい。つらの皮が厚い。
⑥ (篤) 病気が重い。危篤状態である。
⑦ 囲碁で、陣構えが堅固である。将棋などにもいう。⇔薄い。
あつ‐さ
〘名〙
あつ‐み
〘名〙
あつ・し【厚・篤】
〘形ク〙 ⇒あつい(厚)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報