(読み)ハク

デジタル大辞泉 「薄」の意味・読み・例文・類語

はく【薄】[漢字項目]

常用漢字] [音]ハク(漢) [訓]うすい うすめる うすまる うすらぐ うすれる すすき
〈ハク〉
厚みが少ない。「薄氷薄片希薄厚薄
数量などが少ない。乏しい。「薄給薄幸薄謝薄弱薄利
真心に欠ける。心がこもっていない。「薄情薄志弱行軽薄酷薄浮薄
迫る。近づく。「薄暮肉薄
〈うす〉「薄味薄着品薄手薄
[名のり]いたる

うす【薄】

[語素]
名詞・形容詞・動詞などの上に付く。
㋐厚みが少ない意を表す。「板」「氷」
㋑色が濃くない意を表す。「紫」「緑」
㋒濃度や密度が少ない意を表す。「味」「化粧」「霧」
㋓程度が少ない意を表す。「暗い」「明かり」
㋔なんとなく、どことなく、ちょっとの意を表す。「気味悪い」「よごれる」「ぼんやり」
名詞の下に付いて形容動詞をつくり、少ない、小さい、ほとんどない、の意を表す。「品」「望み」「気乗り

すすき【薄/×芒】

イネ科多年草。山野に群生し、高さ約1.5メートル。秋、茎の頂に十数本の枝を出し、黄褐色から紫褐色の大きい花穂をつける。これを俗に尾花といい、秋の七草の一。葉・茎を屋根をふくのに用いた。かや。 秋》「山は暮て野はたそがれの―かな/蕪村
紋所の名。1の穂と葉を図案化したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「薄」の意味・読み・例文・類語

すすき【薄・芒】

  1. 〘 名詞 〙
  2. イネ科の多年草。各地の山野に群生する。稈と葉は根もとから群がって生え、大きな株となる。高さ一~二メートル。葉は長さ六〇~九〇センチメートルの線形、先はとがり縁に細い鋸歯(きょし)がある。下部は鞘(さや)となって稈を包む。秋、茎頂に十数本の短い枝を分け、長さ一五~三〇センチメートルのほぼ円錐形で黄褐色の花穂をつける。花穂には節ごとに無柄と有柄の小穂を双生。小穂は長さ五~七ミリメートルの披針形で、基部にそれとほぼ同長の白毛を多数生じる。芒(のぎ)は小穂の約三倍に達する。茎・葉で屋根をふき、根茎は利尿薬になる。秋の七草の一つ。「箋注和名抄‐一〇」に「薄〈略〉按古謂草叢生者、為須須岐、非一草之名」とあるように、古くは葦、荻(おぎ)などをも含めて総称した。おばな。かや。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「土を堀ること丈余(ひとつゑあまり)、草(かや)を以て其の上を蓋(ふく)。敦(あつ)く茅萩(ススキ)を敷きて」(出典:日本書紀(720)仁徳六二年五月(前田本訓))
    2. 「秋の野のおしなべたるをかしさはすすきこそあれ」(出典:枕草子(10C終)六七)
  3. 紋所の名。の穂と葉とを組み合わせて図案化したもの。薄の丸、雪輪に薄、抱き花薄などがある。
    1. 雪輪に薄@薄の丸
      雪輪に薄@薄の丸
  4. (かさね)の色目の一つ。表は蘇芳(すおう)で、裏地は青色のもの。〔満佐須計装束抄(1184)〕
  5. 遊里などで、芸娼妓の身揚がりをいう。
    1. [初出の実例]「又は或時の身あがり、無花(ススキ)の情にまねかれて」(出典:洒落本・戯言浮世瓢箪(1797)二)

薄の補助注記

穂は褐色で後、白色に変わる。その穂のさまが獣の尾に似ているところから「尾花(おばな)」ともいわれる。「万葉集」では「すすき」「おばな」ともに用例が認められる。


うす【薄】

  1. ( 形容詞「うすい」の語幹から )
  2. [ 1 ] 〘 造語要素 〙
    1. [ 一 ] 名詞、形容詞、動詞などの上に付く。
      1. 厚みが少ない意を表わす。「うすいた」「うすごおり」
      2. 色が濃くない意を表わす。「うす紫」「うす紅(くれない)」「うす黄色」
      3. 濃度や密度が少ない意を表わす。「うす霧」「うす雲」「うすがすむ」「うす味」「うすからい」
      4. 程度が少ない意を表わす。「うすあかり」「うす化粧」
      5. 思慮、知識が乏しい。浅薄である。「うすばか」
      6. なんとなく、かすかに、の意を表わす。「うす笑い」「うす約束」「うす汚ない」「うす気味悪い」
        1. [初出の実例]「コノとんちきめは薄(ウス)因起(いんぎ)のわりい泣出しアがって」(出典:西洋道中膝栗毛(1874‐76)〈総生寛〉一五)
    2. [ 二 ] ( 名詞の下に付いて、形容動詞を作る ) 度合が少ない意を表わす。「望みうす」「期待うす」「気乗りうす」
  3. [ 2 ]おうす(御薄)

うそ【薄】

  1. 〘 接頭語 〙 ( 形容詞「うすい」の語幹「うす」の変化したもの )
  2. 名詞の上に付いて「薄い」意を添える。「うそ霞」「うそ雲」
  3. 動詞、非情意性形容詞、状態性名詞などの上に付いて、その動作、状態の程度が軽いことを表わす。すこし。わずかに。「うそ笑む」「うそ暗い」「うそ黄」
  4. 主に形容詞、形容動詞、状態性動詞の上に付いて、なんとなく(どことなく)そのような感じである、いやに(変に、妙に)そのように感じられる、などの意を添える。「うそさぶい」「うそよごれる」「うそけんどん」

薄の語誌

中世を遡る「うそ…」の例は見出しにくく、また、「うすぐもる・うそぐもる」、「うすぐろし・うそぐろし」など両様の形を持つものについて、「うす…」と「うそ…」の間に意味的な差異を見出しにくいことなどから、中世に特徴的なオ列音・ウ列音間の動揺を背景として「うす…」が音転したものと見るべきであろう。なおに準じるものとして「うそ‐気味が悪い」「うそ‐腹が立つ」などのように連語の上に付く場合もある。


うっすら【薄】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「と」を伴う場合が多い ) 物事の度合のかすかなさまを表わす語。うすく。かすかに。ほのかに。うっすり
    1. [初出の実例]「黒はうっすらとくろいぞ」(出典:玉塵抄(1563)三二)
    2. 「遙かの果てに地方(ぢがた)の山が薄っすら見える」(出典:千鳥(1906)〈鈴木三重吉〉)

うっすり【薄】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「と」を伴う場合が多い ) =うっすら(薄)
    1. [初出の実例]「うっすりと門の瓦に雪降て〈許六〉」(出典:俳諧・深川(1693))

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普及版 字通 「薄」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

(旧字)
17画

[字音] ハク
[字訓] うすい・いやしむ・せまる・すすき

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(ふ)。にものを搏(う)って薄くする意がある。〔説文〕一下に「林なり」と林叢の意とするが、厚薄の意に用いることが多い。厚薄・軽微の意のほか(迫)と声義が通じ、〔左伝、僖二十三年〕「其の裸(はだか)をんと欲し浴するとき、(せま)りて之れをる」とみえる、時のせまることをもいう。

[訓義]
1. うすい、すくない。
2. ひくい、いやしい、まずしい、せまい。
3. いやしむ、かろんずる、きらう。
4. 迫と通じ、せまる、いたる。
5. くさむら、林薄、あつまる、あれくさ。
6. まぶし、えびら、蚕薄、竹かご、やな。
7. 発語、しばらく、いささか、はじめて。
8. 国語で、はなすすき、すすき。

[古辞書の訓]
和名抄〕 、波奈須須(はなすすき)。辨色立に云ふ、。和名、同上 〔名義抄 ウスシ・ココニ・ヤセタリ・セマラル・セメラル・イタル・ハナススキ・アナヅル・スズシ・スクナシ・タヒラカナリ・サム・イヤシム・トドム・マレナリ・ツク・アツム・クダル・キハム・ツラシ・オホフ・ヤウヤク・フムダ・ハジメ・ススキ・エラヒ・ヤハラカナリ/ ハナススキ

[語系]
bak、peakpikは声義近く、みな、せまる意がある。搏pak、拊phioは、せまりうつことをいう。みな擬声的な語である。

[熟語]
薄悪・薄衣・薄意・薄帷・薄陰・薄雲・薄屋・薄海・薄学・薄寒・薄宦・薄・薄饋・薄技・薄儀・薄遽・薄曲・薄衾・薄・薄具・薄遇・薄刑・薄譴・薄言・薄・薄厚・薄行・薄倖・薄茶・薄才・薄材・薄罪・薄視・薄室・薄質・薄日・薄社・薄酌・薄弱・薄粥・薄暑・薄少・薄笑・薄觴・薄情・薄・薄身・薄酔・薄征・薄税・薄雪・薄饌・薄膳・薄装・薄葬・薄俗・薄待・薄地・薄陳・薄・薄田・薄徳・薄泊・薄伐・薄罰・薄皮・薄被・薄・薄媚・薄糜・薄氷・薄夫・薄福・薄物・薄粉・薄暮・薄俸・薄民・薄命・薄・薄夜・薄落・薄利・薄・薄慮・薄礼・薄劣・薄斂・薄陋・薄禄
[下接語]
畏薄・掩薄・寡薄・希薄・虚薄・澆薄・曲薄・緊薄・空薄・軽薄・倹薄・厚薄・刻薄・酷薄・邪薄・榛薄・衰薄・薄・瘠薄・拙薄・浅薄・薄・叢薄・蹇薄・俗薄・淡薄・佻薄・偸薄・肉薄・日薄・卑薄・薄・鄙薄・微薄・貧薄・浮薄・紛薄・俸薄・旁薄・滂薄・涼薄・林薄・禄薄

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動植物名よみかた辞典 普及版 「薄」の解説

薄 (ススキ)

学名:Miscanthus sinensis
植物。イネ科の多年草,園芸植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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