粗飼料(読み)ソシリョウ(英語表記)roughage

翻訳|roughage

デジタル大辞泉 「粗飼料」の意味・読み・例文・類語

そ‐しりょう〔‐シレウ〕【粗飼料】

牧草野草サイレージわらなど、粗繊維含量が高く、養分含量の低い飼料。主に反芻家畜(牛など)に与えられる。→濃厚飼料

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精選版 日本国語大辞典 「粗飼料」の意味・読み・例文・類語

そ‐しりょう ‥シレウ【粗飼料】

〘名〙 粗繊維の含量が高く、脂肪蛋白質澱粉などの少ない飼料。牧草や野草の青草または乾草、わら、青刈りのトウモロコシダイズビートエンシレージなどが含まれる。乳牛などのおもな飼料。→濃厚飼料

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改訂新版 世界大百科事典 「粗飼料」の意味・わかりやすい解説

粗飼料 (そしりょう)
roughage

濃厚飼料に比べて容積が大きく,粗繊維含量が高く,可消化養分の少ない飼料である。ただし,良質のマメ科牧草の乾燥粉末のように,養分含量からは濃厚飼料とみなせるものでも,原料が牧草のため,慣行的に粗飼料に分類されるなど区別は必ずしも明確でない。一般に粗飼料は粗繊維含量が乾物中18%をこえるものが多い。粗飼料には自給粗飼料と流通粗飼料があるが,前者がはるかに多く後者は乾草として少量流通しているにすぎない。水分含量の少ない粗飼料は乾草,わら,殻類などであり,多いものは生草,青刈飼料作物,根菜,副産茎葉などと,そのサイレージで,多汁質飼料と呼ばれる。このうち生草は刈り取って家畜に給与することもあるし,放牧利用されることもある。粗飼料の栄養価値は,草種によって大きく異なるのみでなく,生育段階や刈取り後家畜に給与するまでの調製の過程で変動する。したがって同一牧草でもつねにその栄養価を調べて,適切に家畜に給与しなければならない。粗飼料は可消化エネルギーが濃厚飼料にくらべて少ないけれども,粗タンパク質,各種のビタミン類,ミネラルを豊富に含み,しかも泌乳や発育を促進する未知因子,配糖体,ホルモン様物質なども含有し,家畜の健康状態を良好に保つのに役だつ。そのため良質の粗飼料を草食動物に給与すれば発育,繁殖に十分な栄養素を供給できる。しかしとくに生産能力の高い肥育牛や搾乳牛の場合,粗飼料だけでは養分不足となるので,粗飼料と濃厚飼料を併用して給与することが多い。また粗飼料の中で成分の異なる数種を併用して給与することも好ましい。反芻(はんすう)家畜は消化器の構造と機能からみて一定量の粗飼料を採食していなければ代謝異常を起こし,生産性が著しく低下する。乳牛の場合,全体の飼料中30%以上の粗飼料が必要とされている。乾燥地や急傾斜地など耕地化できない土地でも粗飼料は生産できるので,畜産業は世界中広い地域で成立している。
飼料
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「粗飼料」の意味・わかりやすい解説

粗飼料
そしりょう
roughage

飼料のうち,容積が大きく,粗繊維が多く含まれ,可消化養分の少いものをさす。大別すると,水分含量が少く粗繊維の含量が多いものと,水分含量の多いものに分けられ,前者にはわら類,殻類,干し草類など,後者には青草類,青刈り作物,サイレージ,根菜類などの多汁質飼料と呼ばれるものがある。濃厚飼料に比べると養分含量は少いが,草食家畜には基礎飼料として重要であり,また自給性が高いので,良質の粗飼料を合理的に生産することが畜産経営の鍵となる。

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栄養・生化学辞典 「粗飼料」の解説

粗飼料

 飼料,特に反すう家畜の飼料についていう用語で,繊維が多く,エネルギー含量の少ない飼料.わら,牧草,サイレージなどがこれにあたる.

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