アカテツ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アカテツ」の意味・わかりやすい解説

アカテツ(赤鉄)
アカテツ
Pouteria obovata

アカテツ科の大型高木。アジア熱帯に広く分布し,日本では琉球列島小笠原諸島に自生する。樹高 10~20m。材は非常に硬く,傷つけると褐色樹脂を出し,「赤鉄」の名はこの硬さと樹脂の色に基づくといわれる。樹皮黒褐色。葉は互生し長卵形で長さ8~10cm,枝先に密に集る。葉の質は革質で硬く,表面濃緑色裏面には赤錆色の毛を密生する。夏,枝先の葉腋に黄緑色,5弁の小花をやや密につける。果実は黒褐色,球形で径5~6mm。小笠原諸島の乾燥地には葉がはるかに小型の変種コバノアカテツ P.obovata var. dubia優占種となっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカテツ」の意味・わかりやすい解説

アカテツ
あかてつ
[学] Planchonella obovata (R.Br.) Pierre

アカテツ科(APG分類:アカテツ科)の常緑高木。樹皮は黒褐色で樹脂を分泌するので、クロテツともいう。葉は互生し、楕円(だえん)形または倒卵形、長さ5~10センチメートルで全縁。厚い革質で裏面に茶褐色の毛が多い。6月に小さい白色花が開き、果実は楕円形で9月に黒紫色に熟し、光沢がある。小笠原(おがさわら)諸島、沖縄、吐噶喇(とから)列島、中国南部からインド、マレーシアミクロネシアポリネシアにかけての海岸の林内に分布し、防風、防潮用に植える。

小林義雄 2021年3月22日]

 アカテツ科SapotaceaeはAPG分類でもアカテツ科とされる。アメリカ、アフリカ、アジアの熱帯を中心に54属1300種ほどが分布する。樹脂や果実が利用されるものもある。日本には1属2種が自生する。

[編集部 2021年3月22日]

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