アトレウスの宝庫(読み)アトレウスのほうこ(英語表記)Treasury of Atreus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アトレウスの宝庫」の意味・わかりやすい解説

アトレウスの宝庫
アトレウスのほうこ
Treasury of Atreus

ギリシア,ミケーネのアクロポリスの近くの斜面にある最も代表的なトロス式地下墳墓の一つ。同地の発掘者 H.シュリーマンによって名づけられた。前 1250年頃 (または前 14世紀初期) の建造と推定される。その構造は,手前に長さ 36m,幅 6mの羨道 (えんどう) があり,巨石を積上げた入口を経て巨大なボールト式祭室にいたる。祭室は高さ 13.2m,直径 14.5m,切石を積重ねた蜂巣ボールトをなし,右奥に付属の小墓室がある。この墳墓をアトレウスに帰すことは誤りとされているが,規模の大きさや卓抜した建築構造から,ミケーネ王家のなかでも最も強力な王族の墳墓であったことは疑いない。

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