アメリカの息子(読み)あめりかのむすこ(英語表記)Native Son

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アメリカの息子」の意味・わかりやすい解説

アメリカの息子
あめりかのむすこ
Native Son

アメリカの黒人作家R・ライトの長編小説。1940年刊。誤って白人娘を殺し、さらにその犯罪発覚を恐れて自分の情婦まで殺し、裁判の結果、電気椅子(いす)に送られる黒人青年の物語。作中、被告の犯した犯罪はアメリカの社会制度の必然的結果であると論証する老弁護士マックスの弁論は、そのまま作者自身のアメリカ国家への告発でもある。主人公ビガーを創造することによって、黒人文学抗議小説という定式を確立したところに、この小説の大きな意味がある。

[関口 功]

『橋本福夫訳『アメリカの息子』全2冊(ハヤカワ文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アメリカの息子」の意味・わかりやすい解説

アメリカの息子
アメリカのむすこ
Native Son

アメリカの黒人作家 R.ライトの小説。 1940年刊。人種差別に抗議する自然主義的作品で,シカゴスラム街に育った黒人青年が,誤って白人娘を殺し,逃亡の途中情婦をも殺害して電気椅子にかけられるまでを語る。 41年作者と P.グリーンの手で劇化された。

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