アリノトウグサ(読み)ありのとうぐさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリノトウグサ」の意味・わかりやすい解説

アリノトウグサ
ありのとうぐさ / 蟻塔草
[学] Haloragis micrantha (Thunb.) R.Br.

アリノトウグサ科(APG分類:アリノトウグサ科)の多年草。日当りがよくやや湿った山野草地に生える。全草無毛で、茎は高さ10~30センチメートル、四角く、基部はよく分枝して地をはい、上部は直立する。葉は対生でほとんど無柄、長さ6~15ミリメートル、幅5~10ミリメートル。縁には数個の鋸歯(きょし)があり、茎の上部では互生する。7~9月、円錐(えんすい)花序をなし、花は小形で下向きに一列につく。萼(がく)はほぼ球形で長さ約1ミリメートル、先端に歯牙(しが)がある。花弁は長楕円(ちょうだえん)形、黄褐色で4枚、萼片の2~2.5倍の長さがあり先端は反り返る。雄しべは8本、葯(やく)は暗紫色柱頭に淡紅色の毛を密生する。日本全土、東南アジア、オーストラリアに分布。名は、植物体をアリ塚に、花をアリに見立てたものといわれる。

[小林純子 2019年10月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アリノトウグサ」の意味・わかりやすい解説

アリノトウグサ(蟻の塔草)
アリノトウグサ
Haloragis micrantha

アリノトウグサ科の多年草。東アジアおよびオーストラリアの熱帯から温帯に広く分布し,日当りのよい山野の草地に生える。茎はよく分枝し高さ 10~40cmになり,下部は地をはう。葉は対生するが,上部でやや互生する (→葉序 ) 。葉身は革質,卵形または卵円形で長さ6~12mm,幅4~10mm,柄はほとんどない。7~9月,茎の先に小さな花を複総状花序につける。花弁は4枚で紅色または黄褐色。おしべは8本あり,めしべの成熟にやや先立って花粉を放出する。和名は植物体を蟻塚 (蟻の塔) に見立てたものである。

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