物体の一部または全部が流体(液体または気体)の中にあるとき、物体には、物体が押しのけた部分の流体の重さに等しい浮力が働くという原理。伝説によれば、シラクーザの王ヒエロン2世から、王冠が純金でできているのか、それともほかの金属が混じっているのかを調べるよう命じられたアルキメデスが、入浴中に、浴槽につかった自分の体と同体積の水がこぼれて体が軽く感じられるのに気づき、このことからこの原理を発見し、また王冠に銀が混じっているのを見抜いたという。
液体中の物体を取り去って、そのあとに同じ形の液体を詰めたと考えると、内外は同じ液体であるから、つり合って静止するはずである。これは、物体と入れ替えた液体の重心に働く下向きの重力と、その部分の液体が周囲の液体から受ける浮力がつり合っているからであると考えることができる。この浮力は、周囲の液体が物体の表面に加える圧力の合力であるから、内部が同じ液体であっても、他の物体であっても、合力の大きさと方向は変わらないはずである。したがって、液体中の物体の重心には、アルキメデスの原理で決まる浮力が作用することがわかる。
[石川光男]
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…このような運動学的な考察は《ストイケイア》には見られないところで,こうした求積問題の解法は後の積分法の原型とも見られる。しかもアルキメデスは,単にこの結果を述べるだけでなく,〈二つの量a,bがあるとき,自然数nを十分大きくすれば,na=a+……+a(n回)はbより大きくなる〉(アルキメデスの原理と呼ばれる)を用いてそれを証明しているのである。アルキメデスにはなお静力学あるいは光学上の発見や技術的な発明もあるが,彼自身はそれよりも理論的な研究を重んじたとプルタルコスは記している。…
…その大きさは物体面に働く上記の圧力の合力に等しく物体の実質に無関係である。物体をそのまわりの流体でおきかえてみると,その流体をそのまま支えることができる,すなわちつり合っているから浮力の大きさは物体の排除した流体に働くべき重力に等しい(アルキメデスの原理)。比重が流体より小さい物体は流体中での浮力が物体に働く重力よりも大きいので浮き上がり,液体では液面から外に顔を出し静止する。…
※「アルキメデスの原理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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