日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルキメデスの原理」の意味・わかりやすい解説
アルキメデスの原理
あるきめですのげんり
物体の一部または全部が流体(液体または気体)の中にあるとき、物体には、物体が押しのけた部分の流体の重さに等しい浮力が働くという原理。伝説によれば、シラクーザの王ヒエロン2世から、王冠が純金でできているのか、それともほかの金属が混じっているのかを調べるよう命じられたアルキメデスが、入浴中に、浴槽につかった自分の体と同体積の水がこぼれて体が軽く感じられるのに気づき、このことからこの原理を発見し、また王冠に銀が混じっているのを見抜いたという。
液体中の物体を取り去って、そのあとに同じ形の液体を詰めたと考えると、内外は同じ液体であるから、つり合って静止するはずである。これは、物体と入れ替えた液体の重心に働く下向きの重力と、その部分の液体が周囲の液体から受ける浮力がつり合っているからであると考えることができる。この浮力は、周囲の液体が物体の表面に加える圧力の合力であるから、内部が同じ液体であっても、他の物体であっても、合力の大きさと方向は変わらないはずである。したがって、液体中の物体の重心には、アルキメデスの原理で決まる浮力が作用することがわかる。
[石川光男]