こう‐りょく カフ‥【合力】
〘名〙 (「こう」は「合」の
漢音。「ごうりょく」とも)
① (━する) 他人が何かするのに力を貸して、
援助・協力すること。助勢すること。
加勢。ごうりき。
※
将門記(940頃か)「只、羽翔
(うしゃう)の用に資
(よ)る也。羨
(ねがは)くは合力を被り、将門の乱悪を鎮めむ」
※中右記‐嘉承元年(1106)四月二九日「参六条院、故郁芳門院女房、是同心合力書二写五部大乗経一被二供養一」
② (━する) ある力に別の力が加わること。
二つ以上の働きが合わさること。→
ごうりょく。
※五音三曲集(1460)「
きばにていふ字を、くちびる、したなど合力すれば、重してきたなくきこゆるなり」
③ (━する)
金銭、
物品を与えて援助すること。
扶助。ごうりき。
※
蔭凉軒日録‐寛正四年(1463)正月二九日「為
二法界合力
一、公方段銭并闕所可
レ被
レ寄之事伺
レ之」
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一〇「父より二十金を与へられしのみにて、その他つひに扶給(〈注〉カウリョク)を受しことなし」
④ 運賃積廻船の
海難による
損害を、荷主ら関係者が分担する共同海損のこと。近世海運業での仲間法の
一つで、損害の
全額を分担する素合力と、
半額を分担する半減合力との二つがあり、海難状況に応じて適宜処理されたが、
菱垣・
樽廻船をはじめ海難の多い近世海運では重要な
慣習法であった。
振合力。荷打合力。
※樽船海難私法記(1775)「
空船台なし
破損之時は、重き合力致遣可申事、其余は可為見斗事」
ごう‐りき ガフ‥【合力】
〘名〙
① (━する) 力を合わせて助けること。力添えをすること。こうりょく。
※思出の記(1900‐01)〈
徳富蘆花〉巻外「育英学舎の
俊秀なる
当年の一少年が落魄して合力
(ガフリキ)を求むるに会ひ候」
② (━する) 金銭、物品を与えて助けること。こうりょく。
※玉塵抄(1563)
三一「貧なほどに范が合力
(がふりキ)に物をやったぞ」
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デジタル大辞泉
「合力」の意味・読み・例文・類語
ごう‐りき〔ガフ‐〕【合力】
[名](スル)
1 力を貸すこと。助力すること。
「かくばかり見えすいた徒労に―するものは、一人もなかった」〈菊池寛・恩讐の彼方に〉
2 金銭や物品を与えて助けること。
「一銭二銭の―を願っていましたが」〈有島・片輪者〉
ごう‐りょく〔ガフ‐〕【合力】
[名](スル)
1 力学で、物体に二つ以上の力が作用するとき、それらの力と効果が等しい一つの力。合成力。⇔分力。
2 ⇒ごうりき(合力)
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合力【ごうりょく】
二つ以上の力と全く効果の等しい一つの力。前者から後者を見出すことを〈力の合成〉という。1点に働く2力の合力は,2力を表すベクトルを2辺とする平行四辺形の対角線で表される(力の平行四辺形の法則)。→力/分力
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合力
ごうりょく
resultant force
同時に作用する2つ以上の力をベクトル的に合成して得られ,同等な効果をもつ1つの力。 (→力の合成 )
合力
ごうりき
Arbeitshäufung
共同労働の一形態。一つの仕事をする場合に多くの労働者が同種の労働をすること。大きな荷物,道具の積出しや狩猟の場合などがこれにあたる。
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世界大百科事典内の合力の言及
【堪忍分】より
…堪忍とは食糧,生計の資,ひいては〈生計を保つ〉という意である。堪忍分には,将軍の息女に与えられる化粧料,大名が客分の士や討死した家臣の遺族に与える捨扶持(すてぶち),合力(ごうりよく)などのほかに,改易された大名に幕府が与える場合があった。1619年(元和5)改易された福島正則に与えられた信濃川中島4万5000石,32年(寛永9)改易の加藤忠広に与えられた出羽丸岡1万石,40年改易の生駒高俊に与えられた出羽矢島1万石などが,その例である。…
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