日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルバレズ」の意味・わかりやすい解説
アルバレズ(Luis Walter Alvarez)
あるばれず
Luis Walter Alvarez
(1911―1988)
アメリカの物理学者。シカゴ大学で学位を取得し、カリフォルニア大学へ移り、1945年同大学教授となる。第二次世界大戦中はマサチューセッツ工科大学、ロス・アラモスで、レーダーと原子爆弾の開発(マンハッタン計画)に従事した。戦後、バークリーで陽子線形加速器を建設、その後ベバトロンを使った高エネルギー物理学の研究を行った。このとき、検出器の不備を感じ、グレーザーが発明した泡箱(あわばこ)を実用化し、さらに電子計算機による処理法を確立した。これにより、戦後発見された素粒子に特徴的な量子数であるストレンジネスをもった寿命の短い素粒子などを多数発見し、1968年ノーベル物理学賞を受けた。息子で地質学者のウォルターWalter Alvarez(1940―)との対話をきっかけに、地球を大規模に覆う隕石(いんせき)起源と思われるイリジウム層を発見し、巨大隕石の衝突による恐竜死滅説を1980年に提出した。
[山崎正勝]
アルバレズ(Alfred Alvarez)
あるばれず
Alfred Alvarez
(1929―2019)
イギリスの批評家、詩人、小説家。オックスフォード大学卒業後文筆生活に入り、現代英米詩人論『形成する精神』(1958)や『ダンの流派』(1961)で一躍知られた。D・H・ローレンスの妻だったフリーダ・ローレンスの孫娘と1956年に結婚するが、結婚生活は1961年に破綻(はたん)、それが原因で同年自殺を試みる。その後立ち直り、1960年代を代表する、とくに現代英米詩の批評家として活躍した。美的関心と倫理的関心の調和を目ざすところに特色があり、自殺研究『野蛮な神』(1971)は自らの体験を赤裸々に語るとともに、現代アメリカの告白詩人ロバート・ローウェル、ジョン・ベリマン、シルビア・プラスを高く評価(ベリマンとプラスは自殺)して話題をよんだ。ほかに『サミュエル・ベケット』(1973)、詩集や、小説『彼女のもの』(1974)などもある。
[富士川義之]