アレクシオス(読み)あれくしおす(その他表記)Alexios Ⅰ Komnenos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アレクシオス」の意味・わかりやすい解説

アレクシオス(1世)
あれくしおす
Alexios Ⅰ Komnenos
(1048―1118)

ビザンティン帝国皇帝(在位1081~1118)。小アジアの大土地所有豪族の出で、イサキオス1世Isakios Ⅰ(?―1061、在位1057~1059)の甥(おい)。マケドニア朝断絶(1056)後の内憂外患の混乱期に軍名を馳(は)せ、1081年ニケフォロス3世Nikephoros Ⅲ(1001―1081、在位1078~1081)を廃して登位、コムネノス朝(1081~1185)を開いた。アドリア海岸からのノルマン人侵入をベネチアとの同盟で退け(1081~1084)、トルコ系遊牧民クマン人を買収し傭兵(ようへい)としてペチェネグ人に壊滅的打撃を与え(1091)、首都コンスタンティノープルをねらうセルジューク・トルコの脅威にもよく対抗した。さらに、自らの援助要請にこたえて到来した第1回十字軍(1096~1099)を利用して小アジア西部の失地をトルコ人の手から回復、ノルマン人の再度の侵入(1107~1108)も防ぐなど、その軍事的、政治的手腕を発揮して帝国を立て直した。しかし、従来の大土地所有抑制の原則を捨ててプロノイア制をとったことは、帝国のいわゆる「封建化」を促進させた。また、1082年に援軍派遣代償としてベネチアに帝国港湾での関税免除の特権を与えたことは、帝国の海上覇権を損ない、帝国衰退の遠因一つとなった。

 皇女アンナ・コムネナが敬愛する父帝生涯治績を記した『アレクシアス』は、同帝とその治世に関する貴重な史料である。

[後藤篤子 2022年6月22日]

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旺文社世界史事典 三訂版 「アレクシオス」の解説

アレクシオス(1世)
AlexiosⅠ

1048〜1118
ビザンツ帝国の皇帝(在位1081〜1118)
小アジアがセルジューク朝に奪われたため,ローマ教皇ウルバヌス2世に十字軍の派遣を要請。これを利用して小アジアを回復した。

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