日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンチコドン」の意味・わかりやすい解説
アンチコドン
あんちこどん
anticodon
遺伝学で用いられる単位の一つ。タンパク質合成に働く転移RNA(運搬RNA)の構造の一部であり、遺伝暗号の単位であるコドンを識別する部分で、三つの隣接したヌクレオチドからなる。タンパク質合成のとき、リボゾーム上でメッセンジャーRNA(伝令RNA)のコドンと相補的な塩基対をつくり、コドンの指定するアミノ酸をタンパク質鎖に結合する。たとえば、アミノ酸の一種のセリンを運ぶ運搬RNAではUCGという塩基配列がアンチコドンであり、この部分がセリンの遺伝暗号であるコドンAGCを識別し、この位置にセリンを結合させ、タンパク質鎖をつくる。
[石川辰夫]
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