1579年(天正7)来日したイエズス会インド管区巡察師A.バリニャーノは従来の日本通信(《耶蘇会士日本通信》)の制度を改め1年に一つの公式の年報報告をローマに送る日本年報の制度を確立し,同年最初の年報が彼の指導によって作られた。これは個人の書簡と異なって印刷されることを前提にし,その内容はまず日本の政治状況,キリスト教界の現況およびイエズス会の動向,次に同会の布教機関(カーザとレジデンシア)がある土地,下(しも)・豊後・都地方についての布教報告からなるが,この各地の報告にはヨーロッパのキリスト教徒の教化に裨益(ひえき)する事例が多く採られた。上記形式による年報は1626年(寛永3)まで作られ,その後も日本年報と称する報告が書かれたが,その内容は殉教報告の域を出ない。年報作成は各レジデンシアで1年間に見られた教化的事柄を覚書として9月に各地の布教長に送付し,布教長はその覚書にみずからのカーザでの事柄をも加えてポントスと称する摘要を作成,9月中に長崎の管区長(準管区長)ないしその秘書に送った。ポントスを土台にして作成された年報はマカオ帰航のポルトガル商船で送付された。ポルトガル語で作成された年報はさらに削除訂正ののち印刷され,また各国語に翻訳・抄訳されて公刊された。村上直次郎により1581-87年度分までが《耶蘇会の日本年報》として邦訳され,のち《新異国叢書》に収められた。他の年度分の邦訳も若干あるが,原文書からのものは少ない。
執筆者:五野井 隆史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
解説 一五九八年刊行の「カルタス・ド・ジャパァン」第二部の翻訳。一五七九年から一五八九年までの日本の布教に関する年度報告からなる。
活字本 新異国叢書三・四。耶蘇会年報の旧版があり、新訳本「十六・七世紀イエズス会日本報告集」がある。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
「耶蘇会日本年報」とも。イエズス会の日本におけるキリシタン年次布教報告書。ザビエルの日本布教以来,書簡形式で布教報告(「イエズス会士日本通信」)が行われたが,形式の違いや内容の矛盾から,欧州での誤解や混乱のもとになっていた。このため,1579年(天正7)来日した巡察師バリニャーノによって整備された通信制度の報告集である。報告は各地の教会から地区長をへて(準)管区長へ送られ,まとめられて欧州へ送付された。邦文史料の欠如を補う点で貴重だが,イエズス会による編纂物である点は考慮されなければならない。この制度は1626年(寛永3)まで続いた。一部が「新異国叢書」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
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