イダルゴ(読み)いだるご(英語表記)Miguel Hidalgo

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イダルゴ」の意味・わかりやすい解説

イダルゴ
いだるご
Miguel Hidalgo
(1753―1811)

メキシコ独立運動の指導者。「独立の父」とよばれている。鉱山地帯グアナフアト州の大農園管理人の子に生まれ聖職者となった。自ら農園を購入してブドウ栽培や養蚕を始めるなど、農業や手工業の近代化に努力し、他方ではヨーロッパ思想の影響も受けた。1808年ナポレオンがスペイン本国を占領すると、メキシコのスペインからの独立を目ざす運動が起こったが、イダルゴもこれに参加した。1810年9月16日、スペイン当局の弾圧をきっかけに、教区ドローレス村の民衆に対し武装蜂起(ほうき)を呼びかけた。これを「ドローレスの叫び」という。おもに下層民衆がこれに呼応し、1か月足らずで中北部一帯を支配下に置き、奴隷解放、原住民への土地の返還などを宣言した。そして、10月には8万人に達する民衆を率いてメキシコ市に迫った。しかし、下層民衆を恐れるクリオーリョ(メキシコ生まれの白人)の協力が得られず撤退した。翌年スペイン軍の反撃を受けて捕虜となり処刑された。しかし、独立運動は部下のモレロスに引き継がれた。

野田 隆]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イダルゴ」の意味・わかりやすい解説

イダルゴ
hidalgo

騎士身分にある人を表わすスペイン語。この身分は王から直接与えられるか,または世襲特権によるかのいずれかである。この語は 12世紀頃から現れ,hijo de algo (価値ある息子) から hijodalgoとなり,さらに短縮されて hidalgoになった。大貴族郷士から小貴族を区別するために用いられ,免税の特権を有していた。

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