日本大百科全書(ニッポニカ) 「イボイモリ」の意味・わかりやすい解説
イボイモリ
いぼいもり / 疣蠑螈
[学] Tylototriton andersoni
両生綱有尾目イモリ科の動物。原始的なイモリで、奄美(あまみ)大島や徳之島、沖縄本島、渡嘉敷(とかしき)島に生息する。全長約20センチメートル。頭部はやや扁平(へんぺい)で三角形、胴部もやや扁平で体側には肋骨(ろっこつ)の先端にあたる部分がいぼ状の突起として張り出しているため、この名がある。背面、腹面とも黒色で、指端や体側の隆起の先端は橙赤(とうせき)色。比較的乾燥した場所でワラジムシや甲虫類などを食べて生活し、3~6月に水辺の陸上で産卵する。卵は1個ずつ分離したゼリー膜に包まれ、表面に土粒が付着して目だたない。産卵数は60個内外で、孵化(ふか)した幼生は体をくねらせて水に入り、水中で幼生生活をする。この属には、ヒマラヤから中国南部の山地にかけて5種が知られている。
[倉本 満]