日本大百科全書(ニッポニカ) 「インダンスレン染料」の意味・わかりやすい解説
インダンスレン染料
いんだんすれんせんりょう
indanthrene dyes
2-アミノアントラキノンをアルカリ融解して得られるインダンスレンブルーRSN(インダントロン)をはじめとする高級バット染料の総称。アントラセンから得られる「インジゴ様染料」Indigoähnlicher Farbstoff aus Anthracenの意味で命名され、インダンスレンの名は、のちに最高級の堅牢(けんろう)度を有し色調も美しいバット染料の冠称となった(インダンスレン級という)。本来はドイツでの登録商標であり、日本ではスレン染料という。アントラキノン誘導体、縮合多環キノン誘導体など多種類のものがある。色調も青、緑から黄、黒に及ぶ多様さで、130種以上のものが出されている。ただし赤色系に難点があり、チオインジゴイド染料が赤色系のインダンスレン染料として含まれている。染料が高価であり、染色操作もむずかしいので、日本では最高級の木綿の染色などに用いられている。
[飛田満彦]