建染染料(読み)タテゾメセンリョウ(その他表記)vat dye

翻訳|vat dye

デジタル大辞泉 「建染染料」の意味・読み・例文・類語

たてぞめ‐せんりょう〔‐センレウ〕【建染(め)染料】

そのままでは水に溶けず、一度還元操作を施してから染める染料。染めた繊維は空気中で酸化してもとの染料の色に戻る。インジゴ系染料・インダンスレン系染料などがあり、木綿羊毛染色に使われる。バット染料

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精選版 日本国語大辞典 「建染染料」の意味・読み・例文・類語

たてぞめ‐せんりょう‥センレウ【建染染料】

  1. 〘 名詞 〙 水に溶けず、一度アルカリで還元して、水溶性にして染着させる形式の染料。染着したものを空気中で酸化してもとの染料の色を出す。アルカリによる還元操作を「建てる」ということによる。インジゴイド染料インダンスレン染料スレン染料)などがあり、木綿、レーヨン、絹、羊毛などに用いられる。一般に色相が鮮明で、日光洗濯などに対する堅牢(けんろう)度にすぐれる。バット染料。

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改訂新版 世界大百科事典 「建染染料」の意味・わかりやすい解説

建染染料 (たてぞめせんりょう)
vat dye

バット染料ともいう。染料分子内に2~6個のキノンをもつ水に不溶の染料で,塩基性還元剤により水溶性ロイコ化合物となり,この形で繊維に染着された後,空気酸化されて繊維上でもとの不溶性の構造にもどる。この還元操作を〈建てる〉ということから,この染色法による染料を建染染料という。天然染料として古来有名であるインジゴ(藍)は建染染料の一種であるが,インジゴ型染料の工業生産が可能になり天然品はほぼ駆逐された。1901年にはボーンR.Bohnによりもう一つの型の建染染料であるインダントロンインダンスレン)がアントラキノン誘導体よりつくられ,建染染料はインジゴ型とインダンスレン型に2大別されて今日に至っている。染色する場合には,ふつうハイドロサルファイト(亜二チオン酸ナトリウム)で還元し染料のロイコ化合物のナトリウム塩として溶解する。この溶液建浴vatという。ロイコ化合物の染着は直接染料と同様に行われ,最終的に酸化されて染色が完了する。建染染料は,美麗鮮明な色調と最高の耐光堅牢度,洗濯堅牢度等をもつ高級染料で,主としてセルロース系繊維の染色に用いられるほか,特殊な染色法で羊毛の染色にも使用される。建染染料をあらかじめ還元し,水溶性の硫酸エステル塩としたものを可溶性建染染料という。これは,直接水に溶解して染浴を与え,染着後酸化剤で処理する。建染染料は,特殊な顔料化法で顔料とすることもでき,各種堅牢度の高い高級顔料となる。なお,硫化染料も水に不溶の一種の建染染料ではあるが,ハイドロサルファイトで建てるものだけを硫化建染染料という。
インジゴイド染料 →インダンスレン染料
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百科事典マイペディア 「建染染料」の意味・わかりやすい解説

建染染料【たてぞめせんりょう】

バット染料とも。インジゴ系,インダンスレン系に代表される染料の一群。染料分子中にカルボニル基を有し,水,アルカリに不溶であるため,染色に際し苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)およびハイドロサルファイトを作用させて還元し,水,アルカリに可溶にする。この溶液(建浴(たてよく)という)に繊維を浸し,次いで空気中にさらすと,酸化されて元の染料に戻って色が出,洗っても落ちない堅牢(けんろう)な染色が得られる。
→関連項目インジゴインダンスレン染料染料

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世界大百科事典(旧版)内の建染染料の言及

【染料】より

…さらに化学構造の明らかなものにはこれに基づいた5桁の番号が併記されている。 染料の分類法には染色法によるものと化学構造によるものがあるが,アントラキノン系建染染料のように両者を混合したものもある。一般需要者には化学構造による分類よりは染料のもつ染色的特性を示す分類のほうが便利である。…

※「建染染料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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