化学辞典 第2版 「ウロポルフィリン」の解説
ウロポルフィリン
ウロポルフィリン
uroporphyrin
C40H38N4O16(830.76).ポルフィリンの一種で,側鎖に酢酸基4個,プロピオン酸基4個を含む.側鎖の配列によりⅠ~Ⅳ型があるが,通常,Ⅰ型とⅢ型がみられる.慢性ポルフィリン症の患者の尿から最初に発見されたのでこの名称がある.多数のカルボキシル基をもつので水溶性で,エーテルに不溶.オクタメチルエステルの融点は284~291 ℃(Ⅰ型),255~260 ℃(Ⅲ型).天然には,アフリカ産のエボシドリの羽の赤色色素がⅢ型であり,各種ポルフィリン症患者の尿中からⅠ型とⅢ型がみられる.また,急性ポルフィリン症患者の尿中に見いだされた無色の中間体ポルホビリノーゲンが酸性条件で放置すると非酵素的に重合して,ウロポルフィリンを生成することも知られている.紅色の蛍光を発する赤色の物質で,吸収極大は406,502,536,572,627 nm.[CAS 607-14-7:Ⅰ型][CAS 18273-06-8:Ⅲ型]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報