アメリカの物理学者。ジャワ島バタビアに生まれる。オランダのライデン大学を卒業し、同大学のエーレンフェストのもとで研究を続けた。1927年アメリカのミシガン大学へ移り、同大学準教授を経て、1939年理論物理学教授となった。1925年、アルカリ主系列にみられるスペクトル線の二重項を説明するために、ハウトスミットとともに電子スピンの概念を提出した。それは、従来、点電荷として考えられていた電子に対して有限な広がりをもたせ、電子に角運動量と磁気モーメントをもたせるという、当時においては大胆な仮説であり、1926年のトーマスLlewellyn H. Thomas(1903―1992)の論文で紹介され広く認められるようになった。このほか気体の輸送現象、不完全気体の凝縮、β(ベータ)崩壊などの研究がある。
[小林武信 2018年6月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報