エイクマン(読み)えいくまん(英語表記)Christiaan Eijkman

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エイクマン」の意味・わかりやすい解説

エイクマン(Christiaan Eijkman)
えいくまん
Christiaan Eijkman
(1858―1930)

オランダの生理学者、栄養学者、細菌学者。アムステルダム大学を出て、神経生理学を専攻し、1883年オランダ領東インドに渡る。一時帰国して細菌学を研究したが、1886年脚気(かっけ)対策使節団の一員として、ふたたびオランダ領東インドに渡り、バタビアの病理学研究所長、医学校校長となる。ニワトリ白米で飼育すると脚気症状をおこすが、これに糠(ぬか)を混ぜたり、玄米を与えると、症状が軽快することをみいだし、また囚人で白米食群と玄米食群を比較し、前者に脚気が多発することを認めた。ヒトとニワトリの脚気がいずれも白米による多発性神経炎であることから、それまでの脚気細菌感染説を否定し、毒素説を提唱した。しかし、門弟フレーンスGerrit Grijns(1865―1944)の、米糠の中の必要栄養素証明により、脚気栄養素説となった。1929年、「抗神経炎ビタミンの発見」によりノーベル医学生理学賞を受け(「成長刺激ビタミン」を発見したF・G・ホプキンズとの同時受賞)、1889年より1928年までユトレヒト大学教授として、衛生学、法医学、細菌学を講じた。

古川 明]


エイクマン(Johann Frederik Eijkmann)
えいくまん
Johann Frederik Eijkmann
(1851―1915)

オランダの薬学者。明治初期のお雇い外国人教師。州学校長を父にヘルデルラントに生まれる。ライデン大学出身。薬学博士。1877年(明治10)日本政府の招きで長崎司薬場薬品試験監督に来任、のち東京司薬場に移った。当時不明であった脚気(かっけ)の病因を食事にあるとし、常用食品の化学分析を指導して食品衛生の領域を開発した。司薬場満期後、東京帝国大学薬学教授となり、多くの日本植物の成分研究を行い、とくにケシ科の新アルカロイド、マクレインの元素分析に成功し、著書を出版して日本植物の研究者としての名を高めた。『日本薬局方』第1版編纂(へんさん)への貢献度もきわめて高い。1885年帰国に際し明治天皇に拝謁、勲四等を賜る。帰国後アムステルダム大学教授。『日本薬局方註解(ちゅうかい)』は、エイクマンが編纂した原文翻訳刊行したものである。

[根本曽代子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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