召集(読み)しょうしゅう

精選版 日本国語大辞典 「召集」の意味・読み・例文・類語

しょう‐しゅう セウシフ【召集】

〘名〙
配下の人をよび集めること。自分と同等もしくは、それ以下の者を多人数集めること。〔英和外交商業字彙(1900)〕
セルロイドの塔(1959)〈三浦朱門〉一七「ケイジの各部のビラは申し合せたように、部員を召集していた」 〔大唐西域記‐三〕
兵役にある者を軍隊編制のために召し集めること。また、その行政作用。戦時または事変に際し、作戦、編制の必要上、動員令海軍は充員令)により実施する充員召集、臨時召集国民兵召集と、平時において在営兵の補欠補充のための補欠召集、予備兵後備兵の勤務演習のための演習召集、補充兵の教育のための教育召集などがあった。このうち、現役または補充兵役に編入就役させる作用を徴集といった。
※新聞雑誌‐一三号・明治四年(1871)九月「元藩下之常備兵を召集(しャウシウ)して充べき事」
国会議員に対し、一定の期日に各議院集会することを命ずる行為。内閣の助言承認により、天皇国事行為として行なわれる。
※日本国憲法(1946)七条「天皇は〈略〉左の国事に関する行為を行ふ。〈略〉二 国会を召集すること」

めし‐つど・う ‥つどふ【召集】

〘他ハ下二〙 上位者が呼び集める。召し集める。召集する。
万葉(8C後)三・四七八「もののふの 八十伴(やそとも)の男(を)を 召集聚(めしつどへ)(あども)ひ賜ひ」

めし‐あつ・める【召集】

〘他マ下一〙 めしあつ・む 〘他マ下二〙 上位者が、命じて呼び集める。また、物などを、お取り寄せになる。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「大人廿人ばかり、髫髪(うなゐ)下使など、いとおほくめしあつめて」

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デジタル大辞泉 「召集」の意味・読み・例文・類語

しょう‐しゅう〔セウシフ〕【召集】

[名](スル)
呼び出して集めること。「非番の医師を召集する」
国会の会期を開始させる行為。国会議員に対して、一定の期日に各議院に集会することを命ずること。天皇の国事行為として内閣の助言と承認によって行われる。「国会を召集する」
戦時・事変に際し、在郷軍人・国民兵などを軍隊に呼び出し集めること。
[類語]招く呼ぶ招致招請へいする招集召喚呼び出し呼び寄せる呼び付ける呼び出す召し出す呼び立てる差し招く召致招聘招来

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改訂新版 世界大百科事典 「召集」の意味・わかりやすい解説

召集 (しょうしゅう)
call

在郷の軍人を軍隊に参集させること。旧陸軍では動員時(動員)の充員召集,臨時召集,演習召集,教育召集,帰休兵召集,防衛召集,簡閲点呼があり,旧海軍では充員召集,防衛召集,徴傭船船舶長召集,勤務演習召集,教育召集,補欠召集があった。充員召集令状は淡紅色の用紙で〈赤紙〉と称された。自衛隊では〈招集〉と書かれ,防衛招集と訓練招集がある。防衛招集は防衛庁長官が,防衛出動命令が発せられた場合に内閣総理大臣の承認を得て予備自衛官を防衛招集命令書によって招集するもので,正当な理由がなくて指定された日から3日を過ぎてもなお指定された場所に出頭しない者は3年以下の懲役または禁固に処される。訓練招集は防衛庁長官が,所要の訓練を行うため年に2回以内,招集期間を定めて予備自衛官を訓練招集命令書によって招集するもので,出頭しない場合の刑罰は定められていない。徴兵制の国では,予備役兵の召集により短期間に部隊の人員を充足し大兵力を作ることができる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「召集」の意味・わかりやすい解説

召集
しょうしゅう

国会の会期を開始させる行為をいう。召集によって国会の活動が始まる。召集には、行政府の行為(形式的に国王が行う場合もある)による他律的集会主義(たとえばイギリス、明治憲法など)と、立法府自らの要求による自律的集会主義(たとえばドイツのワイマール憲法)、および一定の日に法律上、当然に会期が始まるものとするもの(たとえばアメリカ連邦議会の常会は毎年1月の第3日に開かれる)がある。

 日本国憲法では、原則として、天皇が内閣の助言と承認に基づいて召集する(7条2号)ことになっているが、各議院は、内閣に対して、それぞれの議院の総議員の4分の1以上の要求によって、臨時会を召集させることができる(53条)ので、他律的集会と自律的集会の混合型といえる。議員から臨時会の召集を要求できるようにしたのは、国会における少数党の発言を保護しようという趣旨からである。召集にあたっては、召集詔書が公布される。なお、地方議会の場合は招集という。

[池田政章]

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普及版 字通 「召集」の読み・字形・画数・意味

【召集】しようしゆう(せうしふ)

よび集める。〔後漢書、馬援伝〕(朱勃の上書)、詔を奉じて西し、邊衆を鎭慰(ちんゐ)す。乃ち豪を招集し、羌戎を曉誘(げういう)す。

字通「召」の項目を見る

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知恵蔵 「召集」の解説

召集

国会の召集と衆院の解散は、内閣の助言と承認により天皇が行う(憲法7条)。実質的な決定権は内閣にあり、天皇は形式的な行為をするにすぎない。国会が召集されると、即日活動が開始される。開会式は儀式として、通常国会では首相の施政方針演説の日に参院本会議場で行うのを通例としている。衆院が解散されると、参院は閉会となり会期は終了する。解散の日から40日以内に総選挙が行われ、選挙の日から30日以内に特別国会が召集される。小泉首相が2005年8月に踏み切った「郵政解散」も憲法7条に基づいて行われた。

(星浩 朝日新聞記者 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「召集」の意味・わかりやすい解説

召集
しょうしゅう

国会会期を開始させる行為のことをいい,日本国憲法上,内閣の助言と承認により,天皇によって行われる (7条2号) 。召集詔書は,集会の期日を定めて公布するものとされ,特に常会の召集詔書は少くとも 20日前に公布しなければならないとされている (国会法1) 。

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