日本大百科全書(ニッポニカ) 「オモトショ」の意味・わかりやすい解説
オモトショ
おもとしょ
Kole Omotoso
(1943― )
ナイジェリア、ヨルバ・ランド出身の小説家、劇作家、評論家。イバダン大学卒業後、エジンバラ大学で現代アラブ文学を専攻し、博士号を取得。1972年に帰国し、イバダン大学、イフェ大学でアラブ・アフリカ文学を講じ、のち南アフリカのウェスタン・ケープ大学教授となった。英語文学のヨルバ語化、土着文化の育成に意欲的。売春婦の母が自殺して、わが身をアフリカの未来のための生贄(いけにえ)に捧(ささ)げる悲劇を描いた代表作『生贄』(1974)のほかに、小説に『建造物』(1971)、ナイジェリア市民戦争(ナイジェリア戦争)をテーマとした『戦闘』(1972)、ナイジェリア最初の推理小説『フェラの選択』(1974)、社会の不平等を諷刺(ふうし)した『尺度』(1976)、『最近のブーム回想』(1982)、『夜明け寸前』(1988)、短編集に『奇蹟(きせき)』(1973)、『チャンスの王国』(1982)、社会諷刺(ふうし)劇に『呪詛(じゅそ)』(1976)、『地平線の影』(1977)、評論集に『アフリカ小説の形式』(1979)、『劇的なものから劇へ』(1982)、『南部移住の季節』(1994)、『アチェベかショインカか』(1995)があり、雑誌『ウェスト・アフリカ』のコラムニストとしても活躍している。
[土屋 哲]