ローエングリン(その他表記)Lohengrin

デジタル大辞泉 「ローエングリン」の意味・読み・例文・類語

ローエングリン(〈ドイツ〉Lohengrin)

ワグナー作曲のオペラ。3幕。作曲者自身の台本により、1850年初演中世叙事詩白鳥騎士伝説もとにしたもので、幻想的・神秘的な場面が人気を得た。

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精選版 日本国語大辞典 「ローエングリン」の意味・読み・例文・類語

ローエングリン

  1. ( 原題[ドイツ語] Lohengrin )
  2. [ 一 ] 叙事詩。一三世紀ごろ成立。白鳥のひく小舟に乗った騎士ローエングリンが、エルザとゴットフリート姉弟を助け、エルザと結婚するが、エルザが禁問の誓いを破ってその素姓を尋ねたため、傷ついて去って行く。
  3. [ 二 ] 歌劇。三幕。ワグナー作曲。[ 一 ]の叙事詩に基づくワグナー自身の台本による。一八五〇年ワイマールで初演。日本初演は昭和一七年(一九四二)。

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改訂新版 世界大百科事典 「ローエングリン」の意味・わかりやすい解説

ローエングリン
Lohengrin

R.ワーグナー作詞・作曲による全3幕のロマン的オペラ。台本は1845年に完成,48年総譜が完成した。50年8月ワイマール宮廷劇場で,リストの指揮により初演。

 物語は10世紀のアントワープ付近。聖杯守護の騎士ローエングリンは,白鳥の引く舟にのって,ブラバントの王女エルザ姫のもとに現れる。エルザは奸臣テルラムントから弟殺しの罪に訴えられている。騎士はエルザのえん罪を晴らし,彼女と結婚することになる。しかしエルザはローエングリンから課せられた禁問の誓いを忘れて,騎士の名を尋ねてしまう。騎士は翌朝人々の前で,自分が聖杯の守護長パルチファルの子ローエングリンであると告げ,聖地へと去ってしまう。

 この作はワーグナーとしては《タンホイザー》の次の作で,自ら〈オペラ〉と呼んだ最後のものである。したがってこれより後の《ニーベルングの指環》や《トリスタンとイゾルデ》のようには徹底的な楽劇の様式をもたないが,前作のような番号オペラ制が排され,また明確なレチタティーボもなくなり,多くの部分ではシュプレヒシュティンメ(半ば語るような音進行の旋律)が採用されている。管弦楽は3管編成となり,これによって,3和音を一つの種類の楽器で演奏できるようになった。弦部もまた従来の5声部の限界を破って,きわめて多声部に分割される。その結果,従来は考えられなかったほどの多彩な音色が獲得された。

 ローエングリン伝説は,古くからドイツ,フランスに流布していたが,ワーグナーは主としてウォルフラムエッシェンバハの)の代表作《パルチファル》によった。この伝説には光と闇,つまり善と悪との闘争や,好奇心が愛を失わせるという思想が根底となっているが,ワーグナーもそれを生かした。さらに芸術家が世間から正しく認められないという運命をローエングリンに象徴した。ワーグナーは1849年のドレスデンにおける革命に参加し,スイスに亡命していたため,ドイツに入ることが許されず,このオペラの初演を見ることができなかった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローエングリン」の意味・わかりやすい解説

ローエングリン
ろーえんぐりん
Lohengrin

ワーグナー作曲のオペラ。全三幕。ドイツや北欧の伝説をもとに、作曲者自ら執筆した台本による。1848年完成、50年ワイマール初演。10世紀のアントワープ、ブラバント地方の領主の娘エルザは、無実の罪で、伯爵テルラムントから国王に訴えられる。裁きの場でエルザは、かつて夢に現れた、白鳥が曳(ひ)く小舟に乗った騎士の話をする。まもなく本当にその騎士が現れ、テルラムントと決闘して勝ち、エルザの身の潔白を証明するが、この小舟を曳く白鳥こそ、テルラムントの妻オルトルートの魔法にかけられたエルザの弟、領主の嗣子(しし)ゴットフリートであった。騎士とエルザは結婚式をあげるが、エルザが禁問の約束を破って騎士の正体を問い詰めたため、騎士は人々の前で、自分は聖杯を守護するパルジファルの子ローエングリンであると告白。聖なる秘密が破られたうえは元の世界に帰らなければならないと告げ、白鳥を人間の姿に戻して去ってゆく。

 ワーグナーの作品中もっとも広く親しまれているものの一つであるが、音楽形式の面においても、個々に独立したアリアの挿入を避けて劇の進行と音楽を密接に関係づけ、また示導動機の用法を徹底させて作品全体の主題的統一を図るなど、後の楽劇に通じる画期的な試みが少なくない。日本初演は1942年(昭和17)藤原歌劇団

[三宅幸夫]

『高辻知義訳『ローエングリーン』(1985・新書館)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ローエングリン」の意味・わかりやすい解説

ローエングリン
Lohengrin

ドイツの伝説の主人公。「白鳥の騎士」とも呼ばれる。原型はおとぎ話の『7羽の白鳥』に由来すると考えられる。最初期のものは 12世紀のフランス語で書かれたもので,ドイツではウォルフラム・フォン・エシェンバハ作の叙事詩『パルツィファル』 (1200~10) の終りに現れる。 1275~90年頃,ハインリヒ1世 (在位 919~936) の時代を背景にした作者未詳の『ローエングリン』が現れ,またコンラート・フォン・ウュルツブルクも『白鳥の騎士』 Schwanritterを書いた。ワーグナー作の3幕の楽劇は,この叙事詩を素材に実在のハインリヒ王などを加えたもので,1850年にリストによってワイマールで初演された。

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百科事典マイペディア 「ローエングリン」の意味・わかりやすい解説

ローエングリン

アーサー王伝説,聖杯伝説に取材した中世ドイツの叙事詩《パルチファル》(エッシェンバハのウォルフラム作)の主人公。〈白鳥の騎士〉。ワーグナーの同名のオペラ(1848年完成,3幕)で有名。
→関連項目ビューロー

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デジタル大辞泉プラス 「ローエングリン」の解説

ローエングリン

ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーのドイツ語による全3幕のオペラ(1850)。原題《Lohengrin》。中世の叙事詩や伝説を題材とし、ワーグナー自身が台本を手掛けた。現在、結婚行進曲と呼ばれる第3幕の「婚礼の合唱」が有名。

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