日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーラル・メソッド」の意味・わかりやすい解説
オーラル・メソッド
おーらるめそっど
oral method
口頭作業を重視した外国語教授法。口頭教授法と訳される。1922~36年(大正11~昭和11)に日本の文部省言語顧問であったイギリス人ハロルド・パーマーが提唱した。彼は1921年に著した『The Oral Method of Teaching Languages』によって、この教授法の提唱者とよばれている。オーラル・メソッドは、文法・訳読式教授法などの伝統的な方法に対する反動としておこった革新的教授法の一つである。言語を「規範としての言語」と「運用のための言語」に分け、外国語学習では後者を対象とし、聞き、話すことを優先する。また、言語習得の5習性として、(1)耳による観察、(2)口まね、(3)口慣らし、(4)意味づけ、(5)類推による作文、をあげ、習慣形成が強調される。学習にあたっては、(1)照合一致から(2)結合合体、そして(3)総合活用の段階に至るべきこと、音声面とともに場面を重視し、英問英答(約束に基づいた定型会話)を中心的活動に置き、入門期には口頭のみによる6週間の指導を原則とし、以後はリーダー中心の総合的指導をすること、などに特色がある。
[垣田直巳]