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お家物 おいえもの

3件 の用語解説(お家物の意味・用語解説を検索)

百科事典マイペディアの解説

お家物【おいえもの】

人形浄瑠璃歌舞伎脚本の一種別。江戸時代の武家で起こった事件,大名の相続争いや仇討などを脚色した作品をいう。《先代萩》《忠臣蔵》などが例。ただし当時は事件を実名通りに扱うことが禁じられていたので,古い時代にかこつけて脚色するのが原則だった。
→関連項目時代物

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世界大百科事典 第2版の解説

おいえもの【お家物】

お家騒動物〉〈お家狂言〉ともいう。歌舞伎・人形浄瑠璃の一系統。江戸時代の大名・旗本家の内で起きた事件を扱う狂言の総称。多くは,お家を横領しようと図る〈叔父敵(おじがたき)〉らの悪人,暗愚な若殿,これを阻止する忠臣らがあい乱れて争い,その葛藤を芯に劇化したものである。野郎歌舞伎時代からすでに発達し,京坂・江戸ともに盛行した。江戸期には実際に起きた御家騒動を脚色上演することは法令により厳禁されていたため,北条・足利・織田・今川などの世界に置きかえて韜晦(とうかい)してきたため,〈時代物〉として扱われる例が多いが,幕末から明治へかけて禁令のゆるみとともに,実録本や講釈種の脚本もかなり現出した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

お家物
おいえもの

浄瑠璃(じょうるり)、歌舞伎(かぶき)脚本の一系統。時代物のうち、江戸時代の将軍家や大名、旗本の家中に起こった事件に取材したもので、お家狂言ともいう。「お家騒動物」の略としても使われるが、正確には『忠臣蔵』のような仇討(あだうち)物も含める。元禄(げんろく)期(1688~1704)には京坂で流行。悪人一味が主家の横領をたくらみ、若殿に放蕩(ほうとう)を勧め、忠臣が苦労したすえ、悪人滅びお家安泰になるという類型的な筋ができ、これが後代の「二の替り狂言」(春芝居)にも盛んに用いられた。また「伊達(だて)騒動」の『先代萩(せんだいはぎ)』、「加賀(かが)騒動」の『加賀見山(かがみやま)』、「田沼騒動」の『鎌倉山』など、実在の事件を脚色するものも多く生まれたが、これらは幕府の法令で実名を使うことを禁じられていたので、たとえば『忠臣蔵』を『太平記』の世界で描いたように、場所や人名を北条や足利(あしかが)の時代に置き換えて脚色するのが慣習だった。明治以後はその法令がなくなったため、実名を使う脚本も多く書かれている。[松井俊諭]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内のお家物の言及

【歌舞伎】より

…いっぽう,純歌舞伎は,歌舞伎のために書きおろされたオリジナルの作品で,《助六由縁江戸桜》《鳴神》《暫(しばらく)》《五大力恋緘(ごだいりきこいのふうじめ)》《隅田川花御所染》《東海道四谷怪談》《桜姫東文章》《与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)》《青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)》《曾我綉俠御所染(そがもようたてしのごしよぞめ)》などが,その例である。 次に,ストーリーのもとになっている事件,登場人物の役名や性格などによって分類するときは,〈時代物〉〈世話物〉〈お家物〉に大別する。時代物は,中世以前の公家や武家社会の事件を背景とした作品群で,江戸時代の庶民の日常生活の身近なところで起こった事件を扱う世話物に対する用語である。…

【時代物】より

…時代物のうち,とくに王朝時代の公卿の社会を扱った狂言を王朝物(王代物)と呼んで区別することもある。また,江戸時代の武家社会における事件やお家騒動を扱った作品はお家物と呼ぶが,当代の武家社会の出来事を生のまま劇化することを禁じられていたことから,〈時代〉の世界を借りて劇化されることが多い。たとえば《仮名手本忠臣蔵》は〈太平記の世界〉を借りている。…

※「お家物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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