かぐや姫(読み)カグヤヒメ

デジタル大辞泉 「かぐや姫」の意味・読み・例文・類語

かぐや‐ひめ【かぐや姫】

竹取物語主人公。竹の中から生まれて、竹取翁たけとりのおきなに育てられ、美しく成長する。貴族みかど求婚されるが、すべて退けて、満月の夜に昇天する。

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精選版 日本国語大辞典 「かぐや姫」の意味・読み・例文・類語

かぐや‐ひめ【かぐや姫】

  1. 「竹取物語」の女主人公。竹の中から生まれ、竹取の翁(おきな)夫婦に育てられて輝くばかりの美しい姫に成長。多く貴公子の求婚を、難題をもちかけてしりぞけ、帝(みかど)のお召しにも応じないまま、八月の十五夜、月からの使者に迎えられて昇天する。なよ竹のかぐや姫。

かぐや姫の語誌

( 1 )古くは、清音の「かくやひめ」であるとする説もあるが、「古事記」の「迦具夜比売」との関係もやはり考えるべきであり、その他の理由からみて、濁音「かぐや」を必ずしも否定できない。
( 2 )「かぐやひめ」の表記には、中世では「海道記」に「赫奕姫」、「聖徳太子伝拾遺抄」に「赫焚妃」、「三国伝記」に「赫屋姫」等がある。
( 3 )「竹取物語」やこれを引用した「大和物語」「宇津保物語」「源氏物語」などでは、かぐや姫は月に帰ることになっているが、「今昔物語集‐三一」などの書では、天空、天上、上界に帰っている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「かぐや姫」の意味・わかりやすい解説

かぐや姫
かぐやひめ

『竹取物語』の主人公の名。物語には「なよ竹のかぐや姫」とある。竹の中から生まれて竹取の翁(おきな)夫婦に育てられ美しい姫に成長するが、5人の貴公子の求婚に難題を課して退け、帝(みかど)の求愛をも断って、八月十五夜、天人に迎えられて月の世界に昇天する。「かぐや姫」という名は光りかがよう美しい姫の意で、光明美は古代における美の理想であった。実在名としては『古事記』に垂仁(すいにん)天皇妃の「迦具夜比売命(かぐやひめのみこと)」、『大鏡』に小野宮実頼(おののみやさねより)の娘の「かぐや姫」がみえる。なお「かぐや」を清音で読む説もあるが、『古事記』の迦具夜は濁音であるし、「かぐ」が「かがよふ」「かぎろひ」などと同根であれば、濁音でよいであろう。

[中野幸一]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「かぐや姫」の解説

かぐや姫 かぐやひめ

「竹取物語」の主人公。
竹取の翁が竹の中からみつけた身長3寸(約10cm)ほどの少女が,翁夫婦にそだてられ3ヵ月でうつくしく成長し,「光りかがやく姫」の意でかぐや姫と名づけられる。5人の貴公子から求婚されるが,結婚の条件にそれぞれ難題をだしてしりぞける。帝の求婚もことわり,八月十五夜,天人にむかえられて月の世界へかえっていく。物語の成立は9世紀後半-10世紀前半か。

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日本文化いろは事典 「かぐや姫」の解説

かぐや姫

かぐや姫は日本で初めて作られた物語文学「竹取物語〔たけとりものがたり〕」を子どもにも分かりやすく紹介したおはなしです。光かがやく竹の中から出てき たかぐや姫は、竹取の翁〔たけとりのおきな〕(おじいさん)夫婦のもとで育てられます。やがて美しく育ったかぐや姫は多くの若者から結婚を申し込まれます が誰とも結婚せず、生まれ故郷である月に帰っていくというお話です。

出典 シナジーマーティング(株)日本文化いろは事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「かぐや姫」の意味・わかりやすい解説

かぐや姫
かぐやひめ

平安時代の伝奇物語『竹取物語』の女主人公。竹から生れ,竹取の翁に養われ,光るほどの美しさに5人の貴公子から求婚され,天皇から召されるが応ぜず昇天する。

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百科事典マイペディア 「かぐや姫」の意味・わかりやすい解説

かぐや姫【かぐやひめ】

竹取物語

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デジタル大辞泉プラス 「かぐや姫」の解説

かぐや姫

米の品種のひとつ。宮城県東松島市産。ササニシキからの突然変異種で、1999年に品種登録。

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世界大百科事典(旧版)内のかぐや姫の言及

【少彦名命】より

…その体軀短小ながら異常な能力を発揮するという説話的人物としての型は,のちの伝承の世界に多くの類型を生み出していった。スクナビコナは,かぐや姫,一寸法師,瓜子姫,桃太郎等々のはるかな先蹤(せんしよう)である。なおオオナムチ,スクナビコナは医療,禁厭(まじない)の法を定めたとされる(《日本書紀》神代巻)だけに,温泉の開発神とする伝えが各地に多くみられ(伊予国,伊豆国の《風土記》逸文など),延喜典薬式に用いられている薬草石斛(せつこく)はスクナヒコノクスネ(少名彦の薬根)と呼ばれた(《和名抄》《本草和名》)。…

【タケ(竹)】より

…竹の中から子どもが生まれるという伝承も古くより行われ,《後漢書》西南夷伝には,夜郎の国の始祖は,川を流れてきた大竹より生まれた男の子であり,そこで姓を竹と名のったと見える。また,四川省チベット族に伝わる〈斑竹姑娘〉の物語は,竹の中から生まれた美女が,権勢をたのんだ求婚者たちに難題を課して翻弄するというもので,日本の〈かぐや姫〉の説話ときわめてよく似ている。【稲畑 耕一郎】
[日本]
 竹は,歳寒(さいかん)の三友(さんゆう),すなわち,〈松竹梅〉の一つとして,日本では慶事に用いられるので,日本人と竹との密接なかかわりはよほど古い時代にまでさかのぼるかのように考えられがちであるが,その〈松竹梅〉の取合せが文献に登場するのは室町時代のことでしかなく,竹が庶民生活と離れがたく結びつくのもその時代以後のことである。…

【竹取物語】より

…1巻。別称《竹取の翁(おきな)》《かぐや姫の物語》《竹取翁物語》。作者不詳。…

【富士信仰】より

…浅間大神は神仏習合の過程で浅間大菩薩の名称になったが,そのイメージはやはり女神であった。《富士浅間縁起》などでは,古老の伝として,《竹取物語》のかぐや姫が富士山中の洞窟に入定した話をのせている。かぐや姫伝説は富士信仰の女神と同一視されて,人口に膾炙(かいしや)していたのである。…

※「かぐや姫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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