カヤクグリ(その他表記)Japanese accentor
Prunella rubida

改訂新版 世界大百科事典 「カヤクグリ」の意味・わかりやすい解説

カヤクグリ (茅潜過)
Japanese accentor
Prunella rubida

スズメ目イワヒバリ科の鳥。全長約14cm。全体に灰色みを帯びた黒褐色で,背は赤褐色に黒い縦斑がある。とくに目だった特徴のないじみな色彩の鳥。春から夏の間は,本州中部以北の亜高山帯上部から高山帯に生息する。コメツガオオシラビソ森林ハイマツ,ウラジロナナカマドなどの低木林の中にいるが,その名のようにいつもやぶの中を潜行していて,なかなか姿を見せない。さえずるときは高く突き出た枝に止まり,美しい声でチュルリ,チュルリ,チリチリチリチリと早口に鳴く。地上や地上近くのやぶで昆虫類をとる。6~8月に,やぶの中の枝にわん状の巣をつくり,1腹3~4個の青色の卵を産む。秋から冬には,本州以南の低山帯に下がり,単独か小さな群れをつくり,林の中のササやぶや沢沿いのやぶにすむ。この時期にもなかなか姿を現さないが,チリリリ,チリリリと細く澄んだ声を聞くことはできる。南千島から北海道,本州,四国に分布する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カヤクグリ」の意味・わかりやすい解説

カヤクグリ
Prunella rubida; Japanese accentor

スズメ目イワヒバリ科。全長 14cm。羽色は褐色みを帯びて地味。背面は頭から尾まで茶褐色で,背や肩,に黒褐色の縦縞模様がある。喉から腹にかけては暗灰色で,下腹部は茶褐色。サハリン島と日本の本州四国地方以北に繁殖分布する。亜高山帯上部の針葉樹林帯の林縁やハイマツ帯で営巣し,ハイマツの樹上に巣をつくる。同属のイワヒバリ同様,複数の雄と雌が一つのなわばりを守って共同繁殖する。冬季標高約 1500m以下の山地の林や低木林,林縁などに移動する。昆虫類,クモ類だけでなく種子も好んで食べる。ヨーロッパカヤクグリ P. modularis は本種に近縁で,ヨーロッパからアジア西部に分布する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カヤクグリ」の意味・わかりやすい解説

カヤクグリ
かやくぐり / 茅潜
Japanese accenter
[学] Prunella rubida

鳥綱スズメ目イワヒバリ科の鳥。全長14センチメートル。上面は赤みのある褐色地に黒褐色の縦斑(じゅうはん)があり、下面は一様にねずみ色の、全体としては目だたない色で、雌雄同色。日本特産の鳥で、北海道、本州、四国の、亜高山帯上部や高山帯の低木林にすみ、ハイマツなどに営巣し、昆虫や植物の種子などをあさる。コケ類、枯れ草、茎、細根などで椀(わん)形の巣をつくり、内部に羽毛などを敷き、青色の卵を3、4個産む。冬季は漂行し、温暖な地方や、より標高の低い林や沢沿いのやぶなどに生息し、地上で種子などを食べる。

[柳澤紀夫]


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百科事典マイペディア 「カヤクグリ」の意味・わかりやすい解説

カヤクグリ

イワヒバリ科の鳥。翼長6.8cm。北海道と本州,四国,南千島だけにすむ固有権。全身暗褐色。亜高山帯から高山帯にすみ,ハイマツやオオシラビソなどの低木の上に営巣する。冬季は低山や丘陵地の林に移動する。繁殖期はおもに昆虫を食べるが,冬は種子を食べる。チリチリチリと鈴を鳴らしたような声でさえずる。

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世界大百科事典(旧版)内のカヤクグリの言及

【イワヒバリ(岩鷚)】より

…この種は北アフリカ,ヨーロッパ,アジアの高山帯に分布し,冬は垂直移動をする。日本のイワヒバリ科の鳥には,ほかにカヤクグリとヤマヒバリがある。カヤクグリ(イラスト)は北海道,本州,四国で繁殖し,日本特産種。…

※「カヤクグリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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