カリエール(読み)かりえーる(英語表記)Eugène Carrière

デジタル大辞泉 「カリエール」の意味・読み・例文・類語

カリエール(Eugène Carrière)

[1849~1906]フランスの画家。女性像、特に母性愛テーマとする作品が多く、単色夢幻的な美しさを特徴とする。代表作「母性」「接吻せっぷん」など。

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精選版 日本国語大辞典 「カリエール」の意味・読み・例文・類語

カリエール

  1. ( Eugène Carrière ウージェーヌ━ ) フランスの画家。夢幻的な作風で有名。作品「母性愛」「病める子」など。(一八四九‐一九〇六

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリエール」の意味・わかりやすい解説

カリエール
かりえーる
Eugène Carrière
(1849―1906)

フランスの画家。グルネーに生まれる。1870年パリに出てカバネル、ついでジュールシェレに学ぶ。1877~1878年ロンドン滞在。1879年サロンに『母子』を出品、その後も母と子、病気の子などの家庭的情景を描き好評を得た。柔軟な色調明暗探求から、しだいにセピア銀灰色などのほとんど単色の霧のような画面、いわゆる「霧の芸術(アール・ブリュモー)」を生み、そのためしばしば印象主義周辺の画家の一人とされるが、むしろその夢幻性、心霊表現風の雰囲気は象徴主義と考えるべきである。事実、カフェ・ボルピニの象徴派の会合にも参加している。自由美学展にも参加。1904年にはサロン・ドートンヌの会長に就任

中山公男


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改訂新版 世界大百科事典 「カリエール」の意味・わかりやすい解説

カリエール
Eugène Carrière
生没年:1849-1906

フランスの画家。セーヌ・サン・ドニ県のグルネーに生まれ,パリで没。石版画家として出発したが,やがてA.カバネルの弟子となり,1879年のサロン(官展)に初入選。肖像画や家庭のだんらん図,とりわけ母子図を得意とし,その灰と茶を基調色としたモノクロームの薄暗い画面では,人物と周囲境界はあいまいになる。神秘的ともいえる〈内的な光〉に満ち,夢と現実がとけあった画面により,19世紀後半のフランスの象徴主義絵画を代表する一人となっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カリエール」の意味・わかりやすい解説

カリエール
Carrière, Eugène

[生]1849.1.17. グルネイ
[没]1906.3.27. パリ
フランスの画家,彫刻家。 1870年パリのエコール・デ・ボザールに学び,のち A.カバネルに師事。 76年サロンに『若い母親』 (1873,アビニョン美術館) を出品以来,妻や子供たちをモデルにした家庭の情景などを慈愛に満ちた画風で描く。 76年ローマ大賞受賞。ルーベンスやベラスケスの影響による初期の濃厚な色彩が,90年頃より淡い灰色の調子に変化し,『母性愛』『接吻』『思想』などの代表作は朦朧とした明暗とやわらかな肉づけによって描かれている。肖像画も多く描き,友人の作家 A.ドーデ,A.フランス,ベルレーヌの肖像などはロダンに影響を与えた。

カリエール
Carrière, Moritz

[生]1817
[没]1895
ドイツの哲学者,美学者。 1853年ミュンヘン大学教授。フィヒテとヘーゲルの影響を受けた。主著"Ästhetik" (1859) ,"Gesammelte Schriften" (14巻,86~93) 。

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百科事典マイペディア 「カリエール」の意味・わかりやすい解説

カリエール

フランスの画家。グルネー生れ。当時隆盛の印象派,後期印象派に同調せず,灰色や褐色の暗い色彩を用いて母子像など家庭的情感にあふれる画面を構成した。親しみやすい画風のゆえに,世紀末のナビ派とともに〈アンティミストIntimiste(親密派)〉と呼ばれることもある。代表作に《病気の子ども》(1885年,ルーブル美術館蔵)など。

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