日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルコアルマイト」の意味・わかりやすい解説
カルコアルマイト
かるこあるまいと
chalcoalumite
アルミニウム(Al)と重金属を主成分とする含水塩基性硫酸塩鉱物の一つ。CuAl4[(OH)12|SO4]・3H2Oの化学式からわかるように、その陰イオンの大部分はヒドロキシ基によって占められ、肝心の硫酸基は少量である。硫酸塩鉱物にはこのような「超塩基性硫酸塩」ともいうべきものがごく普通にみられ、これはその一例である。形態的に、3種類の異なる双晶をもつことでも有名である。自形はb軸方向に伸びた三角柱でこれが球状の集合をなす。
熱水鉱脈型銅鉱床の酸化帯に産し、銅は銅の二次鉱物などの分解により、アルミニウムは粘土化を受けた母岩の粘土鉱物から由来するが、著量のアルミニウムの供給がないと生成されないといわれ、アロフェンやギブス石がそのアルミニウムの供給源となることもある。洞窟(どうくつ)鉱物として産することもある。日本では兵庫県多可(たか)郡多可町樺阪(かばさか)鉱山(閉山)や岐阜県加茂(かも)郡白川町黒川鉱山(閉山)などから産した。共存鉱物は赤銅鉱、くじゃく石、藍銅鉱(らんどうこう)など。同定は独特の青味を帯びた淡緑色、一方向の劈開(へきかい)、三角形の断面をもった結晶などによる。結晶には可切性がある。英名は銅を示すギリシア語と、ミョウバンを意味するラテン語の合成による。
[加藤 昭 2016年2月17日]