カルティニ(読み)かるてぃに(英語表記)Raden Ajeng Kartini

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルティニ」の意味・わかりやすい解説

カルティニ
かるてぃに
Raden Ajeng Kartini
(1878―1904)

インドネシアの女性教育運動の創始者。ジャワ島中部の豪族ブパティ)の娘。一般人子弟のための学校がイスラム私塾以外にはなかった19世紀末に、特権階級出身のため入学を許されたヨーロッパ人小学校で民族差別を体験し、成長していくなかで、自らの民族、ことに女性の地位向上の必要を痛感し、女性啓蒙(けいもう)の実践活動に入ろうとした。結婚して男子出産直後にこの世を去った彼女の意図は、1913年に始まる「カルティニ学校」運動(インドネシアに女学校をつくる運動)によって実現された。彼女がオランダ人知己たちに送った手紙をまとめた書簡集『暗闇(くらやみ)より光明へ』(1911)は、同胞への愛に満ち、覚醒(かくせい)を呼びかけたその内容により、オランダのインドネシア人留学生団体・東インド協会(1923年インドネシア協会(プルヒンプナン・インドネシア)と改称)をはじめとして民族運動に大きな影響を与えた。

[森 弘之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルティニ」の意味・わかりやすい解説

カルティニ
Kartini, Raden Ajeng

[生]1879
[没]1904
ジャワ上流貴族の娘でジャワ人民族意識高揚や教育の普及貢献。西欧的教育を受け,書簡集『闇から光へ』 Door duisternis tot lichtを著わした。

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