カルパッチョ(読み)かるぱっちょ(英語表記)Vittore Carpaccio

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルパッチョ」の意味・わかりやすい解説

カルパッチョ
かるぱっちょ
Vittore Carpaccio
(1465ころ―1525/1526)

イタリアのルネサンス期、ベネチア派画家ベネチアに生まれ、同地で没したと思われる。ジェンティーレ・ベッリーニ弟子であったらしく、師と同じくベネチア特有の大型カンバス(テレーロという)に独特の想像力をもって多くの宗教画を風俗画的に描いた。年記のある最初の作品が『ケルンへの到着』(1490)をはじめとする9面の『聖女ウルスラ伝』(ベネチア・アカデミア美術館)である。スクオーラ・ディ・サントルソラ(聖ウルスラ同信会)のために描かれたこの連作画には、ベネチアの町並みや風物が克明に生き生きと描写されている。ベネチアのスクオーラ(同信会)のために描いた同じような連作画として、スクオーラ・ディ・サン・ジョルジョ・デリ・スキアボーニの『聖ゲオルギウスの物語』など(1502~1507)、スクオーラ・デリ・アルバネージのための『聖母伝』(1504~1508)、スクオーラ・ディ・サント・ステーファノのための『聖ステパノ伝』(1511~1520)がある。多くの作品に署名と年記を残しており、画風変遷をたどることが容易であるが、16世紀に入ってもカルパッチョティツィアーノなどの新様式を取り入れることがなかった。

[篠塚二三男]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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