改訂新版 世界大百科事典 「カワネズミ」の意味・わかりやすい解説
カワネズミ (川鼠)
Himalayan water shrew
Chimarrogale platycephara(=himalayica)
食虫目トガリネズミ科の哺乳類。トガリネズミに似るが,体がずっと大きく水中生活に適応している。本州,四国,九州のほか,中国,ミャンマー,ヒマラヤに分布する。体長8~10cm,尾長8~9cm。体色は背側が褐色を帯びたスレート色,腹側は灰白色。ただし,水に入って泳ぐ姿は毛の間に空気を蓄えているため光を反射して銀色に見える。目はごく小さい。小さな耳は毛に隠れて見えないが,水に潜った際に耳の穴をふさぐ働きがある。手足の指の縁には剛毛が並んではえていて,水かきの代用をする。山中の水の澄んだ渓流にすみ,水に入って流れに乗って泳ぎながら小魚,水生昆虫,ザリガニ,ヒルなどを捕食する。マスやコイなどの養魚場にすみつき,飼われている魚を食べることもある。巣は川岸の石の下などの空所に落葉などの巣材を集めてつくり,4~6月に3~5子産む。おもに夜間活動する夜行性と思われるが,昼間釣人や登山者の目に触れることもしばしばである。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報