日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワネズミ」の意味・わかりやすい解説
カワネズミ
かわねずみ / 河鼠
Himalayan water shrew
[学] Chimarrogale himalayica
哺乳(ほにゅう)綱食虫目トガリネズミ科の動物。ヒマラヤ、ミャンマー(ビルマ)、インドシナ半島、中国南部、台湾、日本に分布する。日本では本州、四国、九州の山地渓流に生息する。頭胴長10~13センチメートル、尾長9.4~10.5センチメートル。尾の先端部下面にやや長い毛の房があり、手足の指の両側には水かきの役目をもつ剛毛がある。耳は7~8ミリメートルで、ほとんど毛の中に隠れる。背面は黒褐色で、下面は褐色を帯びた灰色、または黄色を帯びた白色。体毛は柔らかく、長い白色毛が疎生する。歯式は
で28本。泳ぎや潜水がうまく、水の中では毛の間の空気層のために体が銀色にみえる。水生昆虫、ヒル、カニ、エビ、小魚類を食べ、養魚池の小魚を食害することがある。水辺の崖(がけ)の土中や岩の下などに、広葉樹の葉で巣をつくり、主として春に3頭前後の子を産む。長いものでは2、3年の寿命があると思われる。
[阿部 永]