カワノリ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カワノリ」の意味・わかりやすい解説

カワノリ(川海苔)
カワノリ
Prasiola japonica

緑藻類カワノリ目カワノリ科に属する淡水藻山間渓流に絶えず洗われているような岩の上に着生する。藻体は扁平下端は仮根状になっている。通常長さ 10cmほどであるが,最大のものは 20cm以上になる。顕微鏡的に調べると細胞は1~2層の細胞層をなし,各細胞には星状の葉緑体,ピレノイドおよび核がみられる。細胞は 16に分裂して大配偶子となり,64~128に分裂して小配偶子となる。大小の配偶子はともに2頂毛を有し,遊泳ののち接合する。日本特産種で太平洋に流出する川のかなり上流にのみ分布している。採取し,すいて食用にする。主要細胞壁成分はキシロマンナン。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワノリ」の意味・わかりやすい解説

カワノリ
かわのり / 川海苔
[学] Prasiola japonica Yatabe

緑藻植物、カワノリ科の淡水藻。鮮緑色で、きわめて柔らかい薄膜質葉状体をなす。大きさは10センチメートル内外で、山間の急流域の岩上に春から晩秋にかけて繁茂する一年生藻。分布が限られている希産種で、太平洋に注ぐ河川中でも、栃木県塩原から九州筑後(ちくご)川の上流までにある特定河川だけに産する。抄製品は緑色の紙板型で、浅草のりに似た風味を呈して高価日光の大谷川苔(だいやかわのり)、静岡県白糸の滝周辺の富士川苔、九州の菊池川苔などが代表的な名産品である。

[新崎盛敏]


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