がな(読み)ガナ

デジタル大辞泉 「がな」の意味・読み・例文・類語

がな[副助・終助]

[副助]係助詞「か」に終助詞「な」の付いた「かな」の音変化》体言・活用語の連用形、副詞助詞などに付く。
(疑問語に付いて)不確かな物事を挙げ示す意を表す。さあて…か。
「今の分でも知れぬ(=今ノ勝負デモ勝チ負ケハワカラナイ)。何―勝負にさせう」〈虎明狂・伯養〉
不確かながらも例示する意を表す。…でも。…かなにか。
「てっきり口舌くぜつ―なされて、ひそかに私は乗りかへて、様子を御覧なさるるであろうと存じます」〈浮・禁短気・五〉
[補説]中世から近世用法
[終助]《終助詞「が」+終助詞「な」》
体言、または体言に格助詞「を」「と」などを伴ったものに付く。願望を表す。…が(あって)ほしいなあ。…だったらよいのに。
「あっぱれ、よからうかたき―。最後のいくさして見せ奉らん」〈平家・九〉
(命令・禁止の意を表す文に付いて)強調する意を表す。
みなとの川の潮が引け―」〈閑吟集
活用語の連体形などに付く。確かめたい気持ちや、問いただしたい気持ちを込めた感動を表す。…だねえ。…だがなあ。…だよね。
「抜きさしならぬこの二百目。ある所にはあらう―」〈浄・油地獄
[補説]1は、多く「もがな」の形で用いられたが、中古中期ごろから「をがな」の形も現れた。「もがな」は「も‐がな」と意識され分離し、のち「がな」単独でも用いられた。2は、中世末ごろからの用法。3は、近世の用法で、多くは推量の意を表す語に付く。

が‐な[連語]

[連語]接続助詞「が」+終助詞「な」》(文末に付き、終助詞的に用いて)実現性の薄い事柄をなんとか実現してほしいと願望する意を表す。「早く来てくれるといいんだがな
[補説]多く「明日は晴れてほしいんだがなあ」のように「がなあ」の形で用いられる。

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精選版 日本国語大辞典 「がな」の意味・読み・例文・類語

が‐な

  1. [ 1 ] 〘 終助詞 〙 ( 願望を表わす終助詞「が」に、詠嘆の終助詞「な」の付いてできたもの ) 上代の「がも」に代わる中古以後の用法で、「もがな」の形で用いられることが多い。
    1. 体言または体言に助詞の付いた形を受け、願望の意を表わす。…が(あって)ほしいなあ。
      1. [初出の実例]「かくしつつとにもかくにもながらへて君がやちよにあふよしも哉〈光孝天皇〉」(出典:古今和歌集(905‐914)賀・三四七)
      2. 「ただ受領のよからんをがなとこそ思ひつるに」(出典:落窪物語(10C後)四)
      3. 「さらん者がな、使はんとこそおぼゆれ」(出典:枕草子(10C終)三〇〇)
      4. 「見てもまた逢ふ夜まれなる夢のうちにやがてまぎるるわが身ともがな」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
      5. 「あっぱれ、よからうかたきがな。最後のいくさしてみせ奉らん」(出典:平家物語(13C前)九)
    2. 命令(禁止を含む)文を受け、第三者の動作の実現を願う意を表わす。中世以後の用法。…(て)ほしいなあ。
      1. [初出の実例]「はしへまはれば人がしる、湊の川の塩がひけがな」(出典:歌謡・閑吟集(1518))
      2. 「早ふいねがないねがなともがけどいぬる気色なく」(出典:浄瑠璃・今宮心中(1711頃)中)
  2. [ 2 ] 〘 副詞助 〙 ( 疑問の係助詞「か」に詠嘆の終助詞「な」の付いてできたもの ) 漠然とさし示すのに用いる。中世から近世の用法。
    1. 疑問語を受け、不定の意を表わす。…か。
      1. [初出の実例]「何をがな形見に嫗に取せむ」(出典:今昔物語集(1120頃か)一六)
      2. 「只此の上は何様(どう)がなして、日々の便(たつき)をするが肝要」(出典:人情本・清談若緑(19C中)二)
    2. 前の語を受け、漠然と例示する意を表わす。…でも。
      1. [初出の実例]「おなつかしう存、まぼろしにがな見えられた物(もの)でござりませう」(出典:雲形本狂言・塗師平六(室町末‐近世初))
      2. 「いやそれは私寝言かな申たか。ただしお前が病(や)みほふけて空耳でかなござりましょ」(出典:浄瑠璃心中重井筒(1707)中)
  3. [ 3 ] ( 感動の終助詞「が」に、同じく感動の終助詞「な」の付いたもの ) 文末において終助詞的に用いられる。江戸後期から見られる。
    1. 念を押す意、または詰問の気持を表わす。
      1. [初出の実例]「ヤイ阿呆、伴右衛門様は吉原であらうがな」(出典:歌舞伎・傾城富士見る里(1701)二)
    2. 感動を表わす。
      1. [初出の実例]「抜き差しならぬ此二百匁、有所には有ふがな」(出典:浄瑠璃・女殺油地獄(1721)下)
    3. 見込みのうすい期待にこだわる気持を表わす。「来るといいんだがな」

がな

  1. 〘 接尾語 〙 ( 語源未詳。「なか(中)」「なが(長)」の変化したものか ) 多く「日がな一日」の形で用いられる。一日中の意。
    1. [初出の実例]「主に売ったる身と思へば、昼は日がな一日、手足のかわくひまもなく働けば働く程」(出典:浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)三)

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改訂新版 世界大百科事典 「がな」の意味・わかりやすい解説

ガナ
gaṇa

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のがなの言及

【サンガ】より

…部族共和制国家とは,専制王をもたず,部族集会で選出された首長や代表者に行政権がゆだねられる国家をいう。同じく集団を意味するガナgaṇaの名でも呼ばれ,英語ではリパブリックrepublicと訳される。仏教成立時代のリッチャビ族や釈迦(シャーキヤ)族の国家は,この種の国家を代表するものである。…

※「がな」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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