放射線の一種であるγ線を長時間照射して,その影響を調べたり,影響を利用したりする大規模な圃場(ほじよう)施設。1949年アメリカのニューヨーク州ブルックヘブンに世界最初のものが建設され,現在世界では20を超える。日本では60年に国立の放射線育種場が茨城県那珂郡大宮町に設立され,その主要照射施設として,γ-フィールドが建設されて翌年から照射利用が始まった。この日本のγ-フィールドは全く平和利用のためのもので,作物の品種改良(育種)のために使われている。直径200mの円形圃場で,周囲に高さ8mの防護土塁を築き,中央に4本の鉄脚で支えた高さ5mの照射塔がある。塔の地下に格納されているのが線源で,コバルト60,7.4×1013Bq(=2000キュリー)の強さのもので,照射するときは地上に引き上げる。生物は放射線によって生理的障害を受け,ひどければ死んでしまう。同時に遺伝物質(DNA)も放射線に対して敏感に反応し,変異を起こす。ところが,比較的弱い放射線を長時間照射するようにすると,生理的悪影響を減らしながら,遺伝変異を多くひき起こすことができる。γ-フィールドはその点を利用した施設で,弱い線量率で長い期間照射して,生理的障害の少ないまま突然変異率を高めるようにくふうされている。実際に,上記の放射線育種場にあるγ-フィールドの線源の強さは世界第4位であり,線源に近いところに生物体を置けば強照射となり,遠くに置けば弱照射になる。また大規模なので木のような大きなものも長年栽植して,変異を起こさせることができる。γ-フィールドよりも規模が小さく室内で管理されているものがγ-ルームで,国内にも数多くあるが,その目的はいろいろである。放射線育種場では,γ-フィールドでの依頼照射を積極的に実施しており,できあがった新品種は数十に及んでいる。
執筆者:武田 元吉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… 遺伝変異をつくり出すもう一つの方法として,突然変異を人為的に誘起させる方法があり,放射線や化学物質が用いられる。γ‐フィールドはγ線をだす同位元素コバルト60 60Coを用いるために特別に設置された育種試験場であり,原子力平和利用の一つでもある。 これら各種の手法により遺伝変異を起こした個体(群)は数多く作出されるが,その中で利用価値のあるものはわずかである。…
※「ガンマフィールド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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