東京とその周辺における地下鉄の建設と運営にあたった公法人。通称は営団地下鉄。英語表記Teito Rapid Transit Authority。1941年(昭和16)従来の民間地下鉄会社間の競争に伴う混乱を統制し、東京における地下鉄の拡充を図る目的で、政府、東京市、私鉄各社の出資による特殊法人として設立。東京地下鉄道(株)と東京高速鉄道(株)の路線をあわせた浅草―渋谷間(現、銀座線)14.3キロメートルをもって業務を開始したが、新線の建設は戦争のため中断。第二次世界大戦後、その公共性から唯一の存続営団として認められ、1951年(昭和26)民間資本を排除して公法人となり、アメリカ対日見返援助資金や資金運用部資金を借り入れて新線の拡充に着手。1954年に丸ノ内線池袋―御茶ノ水間を開通したのを皮切りに、1961年日比谷(ひびや)線、1966年東西線、1969年千代田線、1974年有楽町線、1978年半蔵門線、1991年(平成3)南北線と相次いで開通。2004年(平成16)3月末時点の営業キロは183.2キロメートル、保有車両2515、輸送人員1日平均559万人、資本金581億円(政府出資310億円、東京都出資270億円)、職員数9369人。ビル事業、サービス事業などの関連事業も行った。なお、2004年4月に民営化され、東京地下鉄株式会社(通称は東京メトロ)となった。
[中村清司]
『帝都高速度交通営団編・刊『昭和を走った地下鉄』(1977)』▽『帝都高速度交通営団編・刊『営団地下鉄五十年史』(1991)』
東京都(一部は千葉県)で地下鉄を走らせている特殊法人。銀座線,丸ノ内線,日比谷線,東西線,千代田線,有楽町線,半蔵門線,南北線の各線がある(2008年副都心線が開業)。銀座線(浅草~渋谷)は,アジア最初の地下鉄である1920年創立の東京地下鉄道と34年創立の東京高速鉄道が建設した路線を41年に統合したものである。銀座線と丸ノ内線(池袋~荻窪,中野坂上~方南町)は標準軌間(1435mm),集電方式を第3軌条式で建設されたが,その後の各線は周辺の民鉄やJRと相互乗入れを行うため1067mm軌間,架線式となっている。JR中央線と総武線および東葉高速鉄道を結ぶ東西線(中野~西船橋)は全長30.8kmと距離も長く,4割以上が地上区間で,快速列車が運転されている。丸ノ内線は戦後の車両の高性能化のさきがけとなり,千代田線(北綾瀬~綾瀬~代々木上原)はサイリスターチョッパー制御やアルミ車体の採用など,省エネルギー化をいち早く実用化した。日比谷線(北千住~中目黒)では自動列車運転が一部とり入れられている。2004年4月,東京地下鉄株式会社(通称東京メトロ)に改組・改称された。営業路線183.3km(2004年),資本金581億円(2004年,政府310億円,東京都271億円)。
→地下鉄道
執筆者:和久田 康雄
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…地下鉄は建設に多額の資金を要するため,地方公共団体または公共企業体の経営によるのが一般的である。したがって,帝都高速度交通営団の東西線30.8kmのうち南砂町~西船橋間14kmは地上区間であるが,これはJRとの相互乗入れをはかるため,および低湿な未開発地域を通過するため高架としたものなので,地下鉄という。また新玉川線は東急の経営という点を除けば地下鉄そのものであるので,私鉄経営による例外的な地下鉄である。…
※「帝都高速度交通営団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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