キツネノボタン(読み)きつねのぼたん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キツネノボタン」の意味・わかりやすい解説

キツネノボタン
きつねのぼたん / 狐牡丹
[学] Ranunculus silerifolius Lév.

キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の多年草。茎は直立し高さ30~50センチメートル、上部でよく分枝する。根出葉は1回3出複葉。花は黄色、直径約1センチメートルで、4~7月、まばらな総状花序につく。扁平(へんぺい)な痩果(そうか)が多数集まって、金平糖(こんぺいとう)状の集合果となる。日本全土の水湿地に普通にみられ、変異の多い植物。水田雑草。変種ヤマキツネノボタンは茎に斜上する毛が多く、山地に生える。屋久(やく)島には、全体が著しく小さい近縁の別種ヒメキツネノボタンR. yaegatakensis Masam.が分布する。また近縁の別種ウマノアシガタ(キンポウゲ)とは、葉が3出複葉で、花が小さく、痩果が扁平であることで区別される。

[門田裕一 2020年3月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キツネノボタン」の意味・わかりやすい解説

キツネノボタン(狐の牡丹)
キツネノボタン
Ranunculus glaber

キンポウゲ科の多年草で,路傍や溝の脇などの湿地に生える。高さ 60cm内外となり,全体に毛が多い。葉は3小葉から成り,縁に不規則な鋸歯がある。春から秋にかけて,枝先に黄色の花をつける。直径1~1.3cm,緑色萼片は5枚で花弁も5枚,おしべ,めしべともに多数から成る。痩果は楕円形で先は鉤状に曲り多数集って金平糖の形になる。草名野原に生えて葉がボタンに似ていることによる。

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