キャベル(読み)きゃべる(英語表記)James Branch Cabell

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キャベル」の意味・わかりやすい解説

キャベル
Cabell, James Branch

[生]1879.4.14. バージニアリッチモンド
[没]1958.5.5. バージニア,リッチモンド
アメリカ小説家詩人。バージニアの名家に生れ,ウィリアム・アンド・メアリー大学卒業後しばらく記者生活をおくったが,1904年金銭欲を風刺した処女作『鷲の影』 The Eagle's Shadowを発表以来,精力的な作家活動に入った。著書は 50編余を数えるが,最も有名なものは中世の架空の地ポアテムを背景にドン・マニュエルとその子孫をめぐる叙事詩的な連作『マニュエル一代記』 Biography of Manuel (18巻) である。しかし,不道徳のかど非難を浴びた『ジャーゲン』 Jurgen (1919) を除いてはあまり一般の関心をひかず,もっぱら批評家から好評を得ていた。 30年代に入ってからは,その凝った文体と高踏的厭世的な人生観,芸術観のためにまったく顧みられなくなった。醜い現実を排して空想の世界に遊びながら,幻滅懐疑を内にいだいていた彼を,「アメリカのアナトール・フランス」と評するものもある。ほかに,詩集,系図学関係の著書がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キャベル」の意味・わかりやすい解説

キャベル
きゃべる
James Branch Cabell
(1879―1958)

アメリカの小説家。バージニア州の名門出身。50冊を超える幻想的なロマンスを書いたが、なかでも有名なのは『マニュエルの伝記』全18冊で、中世の架空の国ボアテムの創設者マニュエルおよびその子孫の冒険を描く。そのうちの質屋ジャーゲンの愛の遍歴を描いた『ジャーゲン』(1919)はわいせつ書として告発されたが、かえって人気を博した。

[板橋好枝 2015年10月20日]

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