キュリウム(読み)きゅりうむ(英語表記)curium

翻訳|curium

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キュリウム」の意味・わかりやすい解説

キュリウム
きゅりうむ
curium

アクチノイドに属する超ウラン元素の一つ。原子番号96、元素記号Cm。対応するランタノイドガドリニウムが、希土類元素化学の開拓者であるフィンランドのガドリンを記念して命名されたように、放射化学に貢献したフランスのキュリー夫妻を記念して命名された。

 1944年にカリフォルニア大学バークリー校の60インチサイクロトロンで加速したα(アルファ)線をプルトニウム239に照射した試料から、シカゴシーボーグらが精密な化学分離によってその存在を確認した。多くの同位体が知られており、最長半減期(1.56×107年)をもつ同位体はキュリウム247である。金属キュリウムはフッ化物CmF3をバリウム蒸気中で加熱還元して得られ、銀色光沢を示す。ミリグラム量以上が比較的容易に得られ、酸化数+Ⅲ、+Ⅳの化合物が知られており、ガドリニウムに似た化学的挙動を示す。

[岩本振武]



キュリウム(データノート)
きゅりうむでーたのーと

キュリウム
 元素記号  Cm
 原子記号  96
 原子量  (247)※
 融点    1340℃
 沸点    ―
 密度    13.51g/cm3
      (計算値)
 結晶系   立方
※括弧内の数値は原子量ではなく、同位体質量数の一例

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キュリウム」の意味・わかりやすい解説

キュリウム
curium

元素記号 Cm ,原子番号 96。周期表3族のアクチノイド元素人工放射性元素の1つで,超ウラン元素に属する。 1944年 G.シーボーグにより発見された。多数の同位体が知られているが,最初に発見されたキュリウム 242は半減期 162.5日,α壊変でプルトニウム 238に変る。ミリグラム量のキュリウム 242の単体金属が製造されているが,これは銀白色で展性がある。しかしα線を出すため腐食性がある。融点 1340℃。放射能は非常に強く,ラジウムの約 3000倍。キュリウムの名はキュリー夫妻をたたえてつけられた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報