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生の哲学 せいのてつがく philosophy of life

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

生の哲学
せいのてつがく
philosophy of life

人生哲学,処世哲学,実践哲学生命哲学などを含み,その内容は多義的であるが,哲学史的には,19世紀後半から 20世紀初めにかけて主としてヨーロッパで展開された一連の哲学の総称。その方法論的特徴は主知主義,理性主義,実証主義科学哲学などの合理的,科学的思考に反対して,体験,直観を重視し,生を生そのものにおいてとらえること,すなわち,生を固定化したもの,硬化したものとしてとらえるのではなく,流動的なもの,非合理的なものとして把握したところにある。

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デジタル大辞泉の解説

せい‐の‐てつがく【生の哲学】

《〈ドイツLebensphilosophie》19世紀後半から20世紀初めにかけて、理性主義・主知主義実証主義の哲学や唯物論などに反対し、生きている生、体験としての生の直接的把握を目ざしてヨーロッパで展開された一連の哲学的傾向。ショーペンハウアーニーチェを源流とし、ディルタイジンメルベルクソンらによって代表される。

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百科事典マイペディアの解説

生の哲学【せいのてつがく】

ドイツ語Lebensphilosophieなどの訳。19世紀後半から20世紀前半の哲学上の一潮流。ヘーゲル流の合理主義,主知主義に対して,〈体験としての生〉を直接的かつトータルにとらえようとする立場。

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世界大百科事典 第2版の解説

せいのてつがく【生の哲学 Lebensphilosophie[ドイツ]】

20世紀前半を代表する哲学の一分野で,実存の哲学の前段階を成す。理性を強調する合理主義の哲学に対し,知性のみならず情意的なものをも含む人間の本質,すなわち精神的な生に基づく哲学が〈生の哲学〉であり,ベルグソン,R.オイケンディルタイジンメルオルテガ・イ・ガセットなどを代表とする。その先駆は,18世紀の啓蒙主義に対してルソー,ハーマン,F.H.ヤコビヘルダー,さらにはF.シュレーゲルノバーリスなどが感情,信仰,心情,人間性の尊重を,またメーヌ・ド・ビランショーペンハウアーニーチェなどが意志の尊重を説いたことにさかのぼる。

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大辞林 第三版の解説

せいのてつがく【生の哲学】

実証主義や機械論などに対抗して、一九世紀中葉から起こった哲学的潮流の一。真実在を、知性では捉えられない非合理で根源的な生であるとし、生の直接的把握(解釈・直観)を意図する。ニーチェ・ショーペンハウアーに始まり、ベルクソン・ディルタイ・ジンメルなどがその代表。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

生の哲学
せいのてつがく
philosophy of life英語
Lebensphilosophieドイツ語
philosophie de la vieフランス語

19世紀後半、とくにその末期から20世紀の第一次世界大戦前後にかけて、ヨーロッパで展開された一連の傾向の哲学の総称。19世紀後半以来の実証科学の発達に影響された実証主義、あるいは唯物主義的思想の盛行に対立する動きとしておこった。具体的には、ショーペンハウアー、ニーチェを先駆者として、ディルタイ、オイケン、ジンメル、ベルクソンらの哲学が通常その代表的なものに数えられる。フランスのベルクソンは、メーヌ・ド・ビラン、ラベッソンら新心霊主義(スピリチュアリズム)の人々を先駆者としてもつ。またアメリカには、通常プラグマティズムの創始者の一人に数えられながらもベルクソンの考えと本質的な点で多くの共通点をもつW・ジェームズがある。イギリスのT・E・ヒュームやまた日本の西田幾多郎(きたろう)にも同様の傾向を指摘できる。生の哲学の概念をすこし広くとれば、前記の一連の人々をもその傾向に含めて考えることが許されよう。いずれにせよ、これらの哲学者たちに共通する特徴は、人間の、あるいは人間をも含めての生物の、さらには宇宙全体の「生」は、実証科学を典型とする合理的思考の網の目によってはとらえられず、むしろ覆い隠されてしまうと考えるところにある。「生」の実体は、あるいは「生への暗い意志」(ショーペンハウアー)、「権力への意志」(ニーチェ)とされ、また、「純粋持続」「生の飛躍」(ベルクソン)、「純粋経験」(ジェームズ、西田)、「精神的、歴史的生」(ディルタイ、オイケン)というようにとらえられ、同じ生の哲学といっても各人各様のニュアンスがみられる。しかし、合理的・科学的思考による証明の網の目を逃れるもの、対象化的、一面的な近代科学の認識によってとらえられぬものとしての宇宙と人類の生命の総体に注目し、(自然)科学的認識とは区別された直観、ないしは体験とその把握・了解に立ち戻ることによってそれに参入することを目ざす点において、彼らは軌を一にしており、巨視的にみれば、一つの潮流を形づくるのである。
 生の哲学の意義は、近代から現代へと移りゆく西欧文明の全般に広がる生のあらゆる領域での合理化に目を奪われることなく、むしろ総体的な生を平板化し分断し窒息せしめるそのマイナス面に着目して、合理的思考の網の目によってはとらえ尽くせぬ生の基盤へと遡行(そこう)し、宇宙と歴史を貫く総体的な生の流れへの感覚を取り戻し、哲学に固有の生命をよみがえらせようとしたことにあった。この立場を代表する人々の思考が、等しく、なんらかの意味で、「理想主義」的色合いを帯びるゆえんである。時代の状況がますますその厳しさを加えている今日にあって、彼らの開いた思考の流れは、それにもかかわらず絶えることはなく、現象学、解釈学、記号論等々の新たな精緻(せいち)な手法と相助けつつ、進むべき道を模索しているように見受けられる。[坂部 恵]
『O・F・ボルノー著、戸田春夫訳『生の哲学』(1975・玉川大学出版部) ▽ディルタイ著、H・ノール編、久野昭監訳『生の哲学』(1987・以文社)』

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