ギルギット(その他表記)Gilgit

デジタル大辞泉 「ギルギット」の意味・読み・例文・類語

ギルギット(Gilgit)

パキスタン北部、ギルギットバルティスターン州の都市。同州の州都カラコルム山脈に囲まれ、インダス川と支流ギルギット川の合流点付近に位置する。カラコルムハイウエーが通る、ラワルピンディ中国新疆ウイグル自治区を結ぶ中継地の一。ギルギット川の支流カルガー川の断崖に、高さ約30メートルほどの巨大な磨崖仏がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ギルギット」の意味・わかりやすい解説

ギルギット
Gilgit

パキスタン北端部,ギルギット管区中心をなす町。人口3万1902(1961)。北のカラコルムと南のパンジャーブヒマラヤの両山塊の間の小盆地にある。標高約1500m。町は段丘上にある。年降水量は130mmと乾燥し,融雪水をもとに春小麦,トウモロコシ,アンズなどの果物を栽培する。工業はパットラpattraという手織の毛織布地のみである。インダス川に注ぐギルギット川に面し,同川は町の南東でフンザ川を合わせる。フンザ川の谷は内陸アジアとインド亜大陸を結ぶ古くからの交通路で,法顕(ほつけん)や宋雲もここを通っている。近くの岩壁には磨崖仏が残り,かつての仏教の隆盛を伝えている。1978年開通のカラコルム・ハイウェーもこのルートを走る。近くにラカポシ山(7788m)があり,カラコルム登山の根拠地となっている。英領時代には旧カシミール藩王国からイギリスが租借し,ギルギット管区として北辺の軍事的拠点とした。独立の際には,パキスタンに帰属した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギルギット」の意味・わかりやすい解説

ギルギット
ぎるぎっと
Gilgit

パキスタン北端部の町。カラコルム山脈南麓(なんろく)の山間小盆地にあり、インダス川の上流部に注ぐフンザ川の支流ギルギット川に臨む。人口約3万。ギルギットからフンザ川の谷を通る道は古くから内陸アジアとインド亜大陸とを結ぶ重要な交通路で、4世紀初めには北朝後魏(こうぎ)の僧宋雲(そううん)が、また5世紀初めには東晋(とうしん)の僧法顕(ほっけん)がここを通過している。1978年完成のカラコルム・ハイウェーもここを通っている。町は段丘化した扇状地上にあり、交通路の近くには磨崖仏(まがいぶつ)が残っている。イギリス領時代にはカシミール藩王国から租借してここにギルギット管区を置き、イギリス領インドの北辺への守りとした。インド、パキスタンの分離・独立によりパキスタンに帰属した。北方にラカポシ山(7788メートル)がそびえ、カラコルム登山の基地となっている。

[応地利明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギルギット」の意味・わかりやすい解説

ギルギット
Gilgit

パキスタン北部,カシミールの町。ギルギット川とフンザ川の合流点より西方約 20km,ギルギット川南岸に位置する。古くからカシミールとパンジャブ,西チベット,フンザ地方とを結ぶ交易中継地として栄え,仏教の聖地としても有名。独立以来インドと帰属が争われ,現在ではパキスタン管理下のカシミールの軍事的主要拠点で,付近の少数民族に対する行政中心地でもある。周囲にはわずかな農耕地が開かれ,コムギ,ダイズなどを生産。気候は高地温帯に属し,春夏秋冬の季節がはっきりしている。

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百科事典マイペディア 「ギルギット」の意味・わかりやすい解説

ギルギット

カシミール北西部,パキスタンのギルギット管区の町。インダス川支流ギルギット川の河畔に位置,古来中央アジア〜インドを結ぶ交通の要地として知られるギルギット地区の中心。仏教遺跡がある。ギルギット地区はカシミール藩王の下にあったが,1934年―1947年英国が一部を租借して統治した。

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世界大百科事典(旧版)内のギルギットの言及

【カシミール美術】より

…祠堂の中庭には動植物や人物を浅浮彫した精巧な素焼粘土のタイルが敷かれていた。パーンドレーターン,ウシュクル,ギルギットなどにも寺院址があり,塔の形式やテラコッタ像の作風からガンダーラとの密接な交渉がうかがえる。またギルギットのある仏塔からは7~8世紀の多数のサンスクリット語仏典写本が発見された。…

※「ギルギット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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