日本大百科全書(ニッポニカ) 「クサガメ」の意味・わかりやすい解説
クサガメ
くさがめ / 臭亀
reeves turtle
[学] Chinemys reevesi
爬虫(はちゅう)綱カメ目ヌマガメ科のカメ。日本の公園や社寺の池で普通にみられる。本州、四国、九州および対馬(つしま)などの離島、国外では朝鮮半島、中国東部、台湾に分布する。和名のクサガメは、自衛のため腋下腺(えきかせん)や鼠径腺(そけいせん)から悪臭を出すことに由来する。甲長10~25センチメートル、雌は雄よりも大きくなる。背甲は低く3条の隆起した畝(うね)があり周縁は滑らかである。頭頂部の後半が細鱗(さいりん)に覆われる。池や川の淡水にすみ、昼間は岸辺で日光浴をするが、それほど神経質でなく人にもなれる。餌(えさ)は淡水魚や水生生物であるが、飼育下ではレバーやコマツナも食べる雑食性である。初夏に岸辺に穴を掘り、10個前後を産卵する。最近では本種の子ガメもゼニガメ(本来はニホンイシガメの子をよぶ)とよばれ、また国外産はキンセンガメと名づけられペットにされる。
[松井孝爾]