芝草や牧草として使われるイネ科の多年草。ナガハグサともいう。北半球の温帯に広く分布しており,原産地はヨーロッパからアジアにかけての地域とされる。日本では山地のものはもともと自生していたもので,平地のものは帰化したものと考えられている。葉は線形で,長さ5~30cm,幅2~4mm,春から夏に穂を出し,高さ30~80cmとなる。子実を包む穎(えい)には,縮毛が密生する。アメリカのケンタッキー州を中心とした地域の放牧地の牧草として有名。踏みつけられることに対して強く,芝草としても利用される。地下茎を伸ばして繁殖するので,土砂流出防止のために裸地や斜面に植えられる。湿地を好むが,比較的乾燥した土地にも適応し,生命力が強いので,いちど繁茂すると,なかなか他の作物を導入できない。このため輪作には適さない。耐寒性は強いが,夏に弱く,盛夏の刈取りはさける。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。和名はナガハグサ(長葉草)。葉は細長く、長さ5~30センチメートル、幅2~4ミリメートルで先は鈍くとがり、縁(へり)はざらつく。初夏に花穂が出ると高さ30~80センチメートルになる。穂軸には長い枝が輪生し、先に多数の小穂をつける。小穂は長さ3~6ミリメートルで3~5個の小花からなり、穎(えい)には縮毛が密生する。地下茎を伸ばして殖える。ヨーロッパからアジアにかけての地域の原産で、現在は北半球の温帯に広く分布する。北海道と本州の山野に自生し、平地のものは牧草として渡来したものが野生化したものと考えられている。アメリカのケンタッキーを中心とした地域で放牧草として盛んに利用され、この名が生まれた。踏みつけられることに対して強く、公園や庭、ゴルフ場などの芝草とする。また、地下茎が強く、よく張るので土砂流出防止の目的で、裸地や斜面に植えられる。寒さには強いが暑さに弱く、暖地では夏枯れをおこすので、盛夏の刈り取りは避ける。湿地でよく育つが、夏涼しい地方では比較的乾燥した土地にも適応する。生命力が強く、一度繁茂するとほかの作物の導入が困難となる。
[星川清親 2019年8月20日]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
「ナガハグサ(長葉草)」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…気候は湿潤温暖で,州中央部はブルーグラス地帯として知られ,〈ブルーグラス・ステートBluegrass State〉の別称が生まれた。このケンタッキー・ブルーグラスを利用したサラブレッド競走馬の飼育で知られ,レキシントンがその中心をなす。また1875年以来続けられてきたルイビルのケンタッキー・ダービー(5月の第1土曜日に開催)は,世界的に有名。…
…日本産の24種のうち,河原等に生えるイチゴツナギP.sphondylodes Trin.はやや硬く直立した茎のある全体灰緑色を帯びた種で,ミゾイチゴツナギP.acroleuca Steud.は湿った樹陰等に生えるが全体軟らかく,花序は垂れる。ヨーロッパから移入されたナガハグサ(ケンタッキーブルーグラス)は牧草または北方で芝草として利用される多年草であるが,路傍の雑草にもなっている。イチゴツナギ属には他にも,温帯域の牧草や芝草として利用される種が数種ある。…
※「ケンタッキーブルーグラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新