こがね丸(読み)こがねまる

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

こがね丸
こがねまる

巌谷小波 (いわやさざなみ) の童話。 1891年刊。父は虎に食い殺され,母も死んで孤児となった小犬のこがね丸が,文角という牛に育てられて成長,鷲郎という猟犬助力を得てついに父のかたきを討つまでの物語。その間に善悪さまざまな動物が現れて筋立てにふくらみをもたせ,仮託された人生が描かれる。当時の児童文学新生面を開くと同時に,小波に童話作家として立つことを決意させた作品。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

こがね丸 こがねまる

巌谷小波(いわや-さざなみ)の童話「こがね丸」の主人公。
茶色に金色の毛がまじっている犬。父を虎の金眸(きんぽう)に殺され,母も悲嘆の中で死に,牛の文角にそだてられる。猟犬鷲郎にたすけられ,復讐をとげた。明治24年に発表され,近代日本の児童読み物の最初の作品とされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

こがね丸
こがねまる

巌谷小波(いわやさざなみ)作のおとぎ話。1891年(明治24)博文館の「少年文学叢書(そうしょ)」の第一編として刊行。挿絵は武内桂舟(けいしゅう)。小波の処女作で、こがね丸という白犬が、義兄弟の約束を交わした犬の鷲郎(わしろう)その他の助力を得て、父母を噛(か)み殺した虎(とら)の金眸(きんぼう)大王を討つという筋。江戸時代の読本(よみほん)類の影響を受けて成り立っており、識者からは仇討(あだうち)モラルを称揚していると批判されたが、読者たる子供たちからは圧倒的な支持を得た。小波はそのために児童文学の道を歩むようになったともいえる。なお、この作品は文語体で書かれており、大正期の子供たちには読みにくくなったので、1921年(大正10)に口語体に書き直して刊行された。[上笙一郎]
『「こがね丸」(『明治文学全集20 川上眉山・巌谷小波集』所収・1968・筑摩書房)』

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