コハノフスキ(読み)こはのふすき(英語表記)Jan Kochanowski

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コハノフスキ」の意味・わかりやすい解説

コハノフスキ
Kochanowski, Jan

[生]1530. シツィーナ
[没]1584.8.22. ルブリン
ポーランド詩人。 A.ミツケーウィチ以前の同国最大の詩人。 M.レイとともにポーランド文学に黄金時代を築いた。パドバ,パリに学び,イタリア,フランス文学に親しんだ。イタリア滞在中にラテンエレジーエピグラムを書きはじめ,帰国後宮廷に勤めながら『風刺詩集』 Satyr (1564) ,長詩『チェス』 Szachy (66) を書いた。ほかに『ギリシア使節の辞去』 Odprawa posłów greckich (78) ,翻訳ダビデの詩篇』 Psałterz Dawidów (79) ,『挽歌』 Treny (80) などを通じて,詩を教訓主義から解放し,一層普遍的なものにした。透明な言葉で綴られたその詩は,的確な分節法,安定したリズムをもち,画期的な意味をもつ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コハノフスキ」の意味・わかりやすい解説

コハノフスキ
こはのふすき
Jan Kochanowski
(1530―1584)

ポーランドの詩人。同時代のレイとともにポーランド文学の「黄金時代」を築き、ポーランド・ルネサンス期最大の詩人としてポーランド詩の発展に本質的な影響を与えた。イタリアで学んで多面的な教養を身につけ、帰国後、宮廷に仕える間に歌謡や詩形式の短いストーリー、『チェス』(1564)、『風刺詩集』(1564)を書く。文学に専心してからの作品には、傑作『挽歌(ばんか)』(1580)、『ギリシア使節の辞去』(1578)および『ダビデの詩編』の翻訳(1579)などがある。初期の作品はラテン語で書かれたが、レイとともに文語としてのポーランド語を確立させた。

[吉上昭三]

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