コンセプシオン(読み)こんせぷしおん(英語表記)Concepción

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンセプシオン」の意味・わかりやすい解説

コンセプシオン
Concepción

正式名称はコンセプシオンデラマドレサンティシマデラルス Concepción de la Madre Santísima de la Luz。チリ中南部の都市。首都サンチアゴの南南西約 450km,太平洋に注ぐビオビオ川の河口から約 10km上流の沿岸に位置する。 1550年,北北東約 10km,コンセプシオン湾にのぞむ現在のペンコの地にスペイン人によって建設されたが,2度にわたるインディオとの抗争やたび重なる地震によって被害を受け,特に 1730,51年の地震は津波を伴ったため被害が大きく,54年やや内陸のビオビオ川に沿う現在地に移転。同川は太平洋岸と内陸の肥沃な農業地帯を結ぶ重要な交通路をなしていたため,市は商業中心地として発展。現在は天然の良港である北北西のタルカワノを外港とし,南方にチリ最大の炭田地帯を控え,ビオビオ川による水力発電の電力に恵まれ,近郊を含めて工業地帯としても発展。食品,繊維,皮革製品,ビールなどの工業のほか,近年製鉄,石油精製,化学などの重化学工業が発達。コンセプシオン大学 (1919) をはじめとする高等教育機関があり,文化中心地ともなっている。市街大部分が 1939年の地震ののち再建され,近代的な建物が多い。鉄道道路によりパンアメリカン・ハイウェー,チリ縦貫鉄道に連絡するほか,周辺のコロネルロタなどの採炭中心地へ鉄道が通じる。人口 30万 6464 (1992推計) 。

コンセプシオン
Concepción

パラグアイ,東部地方 (パラグアイ川以東) 北西部,コンセプシオン県の県都。首都アスンシオンの北約 210km,パラグアイ川東岸に位置する河港都市。 1773年建設。同川西岸に広がるグランチャコと呼ばれる大平原地帯の北部の開発基地で,市内には製材,製粉,綿織物,製糖,なめし皮などの工場がある。港は同県および北チャコの積出港で,自由港としてブラジルとの取引も盛ん。首都と水路,道路で結ばれ,ブラジル方面へ通じる道路の起点となっている。人口2万 3723 (1985推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンセプシオン」の意味・わかりやすい解説

コンセプシオン(チリ)
こんせぷしおん
Concepción

南アメリカ、チリ中南部の第8地域(ビオ・ビオBío-Bío)の首都。人口21万4505(2002国勢調査速報値)。近隣のタルカワノとともにチリ中南部最大の都市圏を構成する。現在のペンコPencoの位置に1550年建設されたが、アラウカノ人の襲撃、地震、津波などで破壊され、1754年、現在地に移動した。ビオ・ビオ川の河口より10キロメートル上流に位置し、タルカワノが外港の役割を果たす。豊かな中央農業地帯の農牧・畜産品、周辺の木材の集散地であるだけでなく、市内や郊外には繊維、食品加工、製材、鉄鋼などの工業が立地し、周辺のペンコ、トメToméなどとともにチリ有数の工業地帯となっている。またコンセプシオン大学などがあり中南部の文化的中心地でもある。

[細野昭雄]


コンセプシオン(パラグアイ)
こんせぷしおん
Concepción

南アメリカ中部、パラグアイ北部、コンセプシオン県の県都で、パラグアイ川に面する港湾都市。人口4万5068(2002)。北部パラグアイの主要貿易港で、牛皮革、木材、マテチャおよびケブラチョエキス(タンニン)などを輸出する。ブラジル国境の町ペドロ・フアン・カバレロまで高速道路が通じる。

[市川正巳]

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