スペインの作家。1936年の内乱勃発により,ブエノス・アイレスへ渡り,その地で没した。若いときから嘱望されていた文学的才能は,生涯に100冊近く発表されることになる小説,随筆,伝記など多方面においていかんなく発揮されたが,最大の功績は〈グレゲリーアgreguería〉という特異な短文の表現形式の創造である。〈夜が打つ脈搏はかるコオロギや〉などに見られる鋭い自然観察眼は,日本の俳人のそれを思わせるが,彼自身の定義によれば〈諧謔(かいぎやく)と隠喩の総合〉の所産なのである。10年来,無数に作られた〈グレゲリーア〉は数回にわたって集録されて《グレゲリーアス》(1917-60)として刊行された。〈グレゲリーア〉とは現実の事象を機知と比喩に富んだ独自の発想で散文に表現したもの,と解釈されている。ほかに,《闘牛士カラーチョ》《六つの偽りの小説》(ともに1926)などの小説も注目される。
執筆者:志賀 一郎
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スペインの作家。16歳ごろから創作を開始、早熟の文才を注目され、マドリード、オビエド両大学で法学を修めたのち、本格的作家活動に入る。前衛の立場にたち、伝統にとらわれない自由な発想から、小説、戯曲、随筆、評論、伝記など独創的作品を発表。なかでも持ち味のユーモア感覚は「グレゲリア」に躍如としている。グレゲリアとは隠喩(いんゆ)や洒落(しゃれ)を用いて、機知に富む着想、連想を軽快に表現する文章のことで、作者自身は「ユーモア+隠喩=グレゲリア」と定義する。その代表作『グレゲリア集』(1918)をはじめ、小説『白と黒の未亡人』(1917)、『闘牛士カラーチョ』(1926)や、ゴヤ、エル・グレコなどの伝記がある。
[東谷穎人]
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