パイプで台座を組み,ハンドル,ブレーキ,アクセルなどの走行装置をつけ,小さなエンジンを搭載した1人乗り自動車。1956年アメリカのレーシングカー設計者によって現在のようなものが作られた。57年にはこの車がカートkartと名づけられ,〈ゴーカートGo-kart〉の商品名で売り出された。日本では,一般に遊園地などにあるカートに似た車をゴーカートということが多いので,レース用は〈レーシングカート〉と称されている。レース用のエンジンには,日本の場合カート専用の100㏄,オートバイの125㏄エンジンを使うもの,世界的なレースとして年1回行われているワールドカップ用のフォーミュラK(135㏄)などがある。これらは毎分2万回転で,レースでは時速130kmくらいでる。国際自動車連盟(FIA),日本自動車連盟(JAF)が,それぞれ国際,国内のカートレースを統轄している。日本では72年に青森県むつ湾サーキットで,はじめて日本カートプリが行われた。現在は,カート専用の100㏄エンジンだけを使用したレースが行われており,キャブレター(気化器)の径の違いによりFSA,FAの2クラスで世界選手権,ワールドカップ(W杯)が開かれている。世界戦は各国持ち回りで秋に,またW杯は鈴鹿サーキットで春に行われている。また,国内ではFSA,FA2クラスのほか,ICAクラスを含め〈全日本カート競技選手権〉がシリーズ戦で展開されている。
カートレースは,ハンドルの切れ,ダッシュ力などフォーミュラカーに準ずる要素が多分にあり,より上級車種へのステップアップの段階として近年,若年層の入門者が増えている。カート出身で有名なのは,元F1ドライバーで,94年シーズンの途中イタリアのイモラ・サーキットで事故死した〈音速の貴公子〉セナAyrton Senna(1960-94,ブラジル)である。現在のF1界にも,中野信治らの日本人ドライバーを含め数人のカート出身者がいる。
執筆者:石田 寿喜
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