日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴールドフィールド鉱」の意味・わかりやすい解説
ゴールドフィールド鉱
ごーるどふぃーるどこう
goldfieldite
ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)を主成分として含む銅の硫塩鉱物。四面銅鉱系。砒(ひ)四面銅鉱(化学式、Cu10(Fe,Zn)2[S|(AsS3)4])や安四面銅鉱(化学式、Cu10(Fe,Zn)2[S|(SbS3)4])のAsあるいはSbをTeが置換するため、原子価の調整はおもにこれらに含まれる2(Fe,Zn)が2Cuで置換することで行われる。また、(Te,Sb,As)のなかでは、Te>As, Sbであって、As>SbのものもAs<Sbのものもこの名前でよばれる。
自形は未報告であるが、四面銅鉱系に属するので、もし発見されれば、正四面体を基調とする立体であることが期待される。浅~深熱水性鉱脈型金・銀・銅鉱床に産する。斑岩銅鉱床(はんがんどうこうしょう)からも報告されている。日本では静岡県下田市河津(かわづ)鉱山(閉山)や鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市入来(いりき)鉱山(閉山)から産する。
共存鉱物は黄鉄鉱、白鉄鉱、自然金、閃亜鉛鉱(せんあえんこう)、ヘッス鉱、ペッツ鉱、テルル鉛鉱、輝蒼鉛鉱(きそうえんこう)、石英など。同定は外観は四面銅鉱系鉱物の特徴と同じであるが、とくにほかに多種の硫化物と共存している場合は、これらの粒間を埋めていることが多いので、その存在はわかりにくい。命名は原産地、アメリカ、ネバダ州のゴールドフィールドGoldfieldに由来する。
[加藤 昭]
ゴールドフィールド鉱(データノート)
ごーるどふぃーるどこうでーたのーと
ゴールドフィールド鉱
英名 goldfieldite
化学式 Cu12[S|((Te,Sb,As)S4)3]
少量成分 Ag,Au,Fe,Zn,Bi,Se,Pb
結晶系 等軸
硬度 3~3.5
比重 ~4.95
色 暗鉛灰
光沢 金属
条痕 黒
劈開 無
(「劈開」の項目を参照)