サツマイナモリ(読み)さつまいなもり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サツマイナモリ」の意味・わかりやすい解説

サツマイナモリ
さつまいなもり / 薩摩稲森
[学] Ophiorrhiza japonica Bl.

アカネ科(APG分類:アカネ科)の多年草。高さ10~25センチメートルで、茎の一部は木化する。茎や葉は乾くと赤みを帯びる。11~4月、鎌形(かまがた)花序をつけ白色花を開く。果実扁平(へんぺい)で倒三角形、多数の小さい種子がある。常緑樹林下に生え、関東地方南部以西の本州から沖縄、および中国に分布する。名は、薩摩(さつま)産のイナモリソウの意味である。

 サツマイナモリ属は、東南アジアを中心として太平洋諸島、オーストラリアに約150種分布する。中国には、根をヘビ解毒薬とするものがある。

[福岡誠行 2021年5月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サツマイナモリ」の意味・わかりやすい解説

サツマイナモリ(薩摩稲森)
サツマイナモリ
Ophiorrhiza japonica

アカネ科の多年草。房総半島以西の暖地に分布し,常緑樹林下などに群生することが多い。茎の下部は地をはって根を出し,汚褐色の細毛がある。葉は長い柄で対生し,長卵形で先端がとがり全縁である。 11月~3月,枝先に集散花序をつくって花を開く。萼筒は短く5深裂し,花冠は白色の漏斗状で先が5裂し,内面に白毛が生える。花は乾燥すると赤色を帯びる。おしべは5本,花柱は1本で,柱頭は2裂する。包葉線形で細毛がある。和名は薩摩のイナモリソウの意。茎が木質化するためキダチイナモリの別名がある。別属のイナモリソウ Pseudopyxis depressaはやはり日本の暖地に生じる多年草であるが,本種に比して葉が広く,全体に草質で花は淡青色である。

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